第2週最終日の未消化試合が行われ、中大が逆転で駒大を下し、勝ち点を2に伸ばして5位が確定。1部残留を決めた。

今秋のドラフト候補に挙がる最速155キロ右腕、西舘勇陽投手(4年=花巻東)は、最後の打者を左飛に抑えて勝利に沸くチームメートに駆け寄ると、涙があふれた。「今まで自分のせいで負けてきて…最後、勝ち切れた。やっと春が終わった…」。張り詰めた思いが解け、涙はいつのまにか笑顔に変わった。

もう2度と入れ替え戦は戦いたくないー。チームの思いを託された先発マウンド。力強い真っすぐとスライダーを軸に7回まで毎回の11三振を奪ったが、駒大の岩本皓多捕手(4年=関西)に、2回にソロ本塁打、4回に2ラン本塁打2打席連続本塁打を浴び3失点。「また自分のせいで負けるのか…」。弱気が西舘を支配した。

頭によぎったのは昨春、三つどもえの順位決定戦で青学大に逆転負けで最下位が決まった試合。3-1とリードして迎えた7回から救援マウンドに立つも、逆転を許し敗戦。チームメートの涙が目に浮かんだ。

弱気になりかけたエースの背中を、チームメートが力強く押してくれた。5回、6回に1点ずつ返し、7回1死一、二塁から高橋隆慶外野手(4年=明秀学園日立)の左越え適時三塁打で2点を奪って逆転に成功した。さらに1点を加え、駒大を引き離した。「弱い気持ちが一気に吹っ切れた。その後は気持ちを強くもって、『俺に任せろ』という気持ちで投げられました」。エースらしく、堂々と最後まで投げきり、7安打3失点。完投で今季3勝目を挙げた。

今季は9試合に登板するも、勝ちきれず3勝5敗。「先制されることが多くて。野手が得点しにくい雰囲気を自分が作ってしまって申し訳なかった。今日は逆転してくれた。野手のおかげです」と、逆転打の高橋を笑顔で見つめた。

投打でかみ合い、中大らしい試合で最終戦を締めた。清水達也監督(58)は「この2人(西舘、高橋)が投打の柱。西舘は本当に立派だった。よく投げてくれました」と、たたえた。

昨年は春は最下位も、秋には優勝争いを戦った。今年も春の悔しさを糧に、チーム一丸、秋には再び上を目指す。【保坂淑子】