巨人岡本和真内野手(27)が真夏のヒーローになった。自身初の1試合3本塁打で、史上9人目の6年連続30本塁打を達成した。広島大瀬良から、初回に28号2ラン、4回に29号ソロを放つと、8回にダメ押しの30号ソロを運んだ。6年連続の大台は、球団では王貞治、松井秀喜に次いで3人目。主将の打棒で、チームは13得点で大勝を収め、6月24日以来43日ぶりに3位に浮上した。

4番の背中がカッコいい。岡本和が広島の夏空に3本のアーチを描いた。1回2死一塁、左翼の上本が1歩も動かない確信の先制28号2ランを放つと、4回はライナーで左翼席に運ぶ29号ソロ。2打席連発とすると、最後は8回1死、左翼席へ1試合3本目となる30号ソロをかっ飛ばした。「カープにずっとやられてましたし、なんとか今日1勝したいと思ってた」と、鬼門・マツダスタジアムで2勝目(7敗)を挙げ、意地を見せた。

真夏のヒーローが本領を発揮した。打率2割2分1厘、4本塁打と苦しんだ7月を抜け、8月は6試合で打率4割1分7厘、8本塁打、11打点でOPS1・840と猛打をふるう。直近5年で3度、打率3割を上回り計31本塁打の8月に好調をキープ。夏休みのスタンドに駆けつける子どもらに「喜んでもらえたらうれしいですし、ファンあってのプロ野球。しっかりと勝って喜んでもらえるように頑張りたい」と大きな背中を見せた。

岡本和自身も少年時代に憧れたスーパースターがいる。メジャー通算3139安打、508本塁打を誇るWBCベネズエラ代表のミゲル・カブレラ内野手(40)。3月の同期間中、米国フロリダのローンデポ・パークで突然オリックス山本から電話がかかってきた。「カブレラがいます!」。連絡を受けて大急ぎで直行。「ずっと見てたし、レジェンドだから会えてうれしい。もう、めちゃくちゃデカかったです」と身長193センチ、体重112キロと、一回り大きな体格と存在感に刺激された。念願の初対面で撮影した2ショット写真は宝物になった。

6年連続30本塁打と大台に乗り、チームを43日ぶりのAクラス返り咲きに導いても、姿勢は変わらない。「(30本塁打は)目安にしてる数字でもありますけど、まずはチームが勝つこと。偉そうに言える立場じゃないので」。もっとカッコいい主砲であり続ける。【小早川宗一郎】

■原監督「すごいですね」

岡本和は指揮官にハッパを掛けられ量産態勢に入った。1日のヤクルト戦で4打数無安打に終わると、原監督から「和真、いた?」とチクリ。それでも「全然、気にしていないですよ。おもろいコメント出すなあと思って」と“激励”に奮起し、2日同戦以降5戦8発とした。この日の試合後、原監督は「すごいですね。やっぱり先制の2ランが効きましたね。続けていってほしいですね。(原動力は)責任感じゃないですか。キャプテンシーだと思いますね」と活躍をたたえた。