ロッテ沢村拓一投手(35)が「可逆性脳血管攣縮(れんしゅく)症候群」を乗り越え、約1カ月で復活した。

0-3の8回。沢村の登場曲が流れた瞬間だった。その曲に反応したファンから「お~~~」のどよめきが起きた。「マリーンズのピッチャー、沢村~」の場内アナウンスに、2万7729人が集まった観衆の歓声と拍手に包まれた。内野席のロッテファンにも立ち上がって「待っていたぞ~」と叫ぶ男性もいた。

先頭の小郷に対する復帰初球。スライダーがワンバウンドとなりボール。続く2球目は152キロの直球が外角高めに。バックスクリーンに運ばれた。口を真一文字に結んだ。

続く太田には中前打で出塁を許すと、犠打をしっかり自身で処理し1アウトを奪った。流れ出る汗も拭った。村林には遊撃内野安打で1死一、二塁。一ゴロで2死後、最後は浅村を二ゴロに封じた。この日、1軍に選手登録されたばかりで1回3安打1失点。即日登板で失点はしたが、ベンチに下がると、仲間にもファンにも大きな拍手で迎えられた。

吉井理人監督(58)は「まずは体が大丈夫で良かった。今日は打たれてしまったけれど、またしっかり調整して頑張ってくれると思う」と次回登板に期待。終盤戦のチームへの影響にも「すごく経験のある子で練習もしっかり準備してくれる。特にブルベン陣の若い子を益田(直也)とともに引っ張ってくれると思う」と頼った。

7月下旬に体調不良を感じて診察を受け、8月上旬に入院した。同7日の退院後は軽めの調整を続け、同25日からの1軍の大阪遠征にも同行してキャッチボールする姿も披露した。同30日にはイースタン・リーグ楽天戦(ロッテ浦和)で実戦復帰。3回に2番手で登板し、1回16球を投げ1安打1奪三振無失点の好投だった。

8回でマウンドは降りたが、同裏から仲間も反撃を開始。打線に火をつけたのは沢村の姿だったのかもしれない。8回には1死から田村が中前打を放つと、岡が左中間へ適時二塁打。さらに藤岡も右前適時打で続いた。9回に3試合連続本塁打の23号でリーグトップに並んだポランコも「沢村はブラザーと呼び合っている仲ですし、勝ちにこだわっている選手なので戻って来られてうれしい」と友の復帰を喜んだ。【鎌田直秀】

▽ロッテ・ポランコ(9回に1点差に迫る右越え2ランを放ち、楽天浅村と並ぶリーグトップ23号)「23本打てていることはうれしいけれど、チームの勝ちに貢献出来てないことが悔しい。沢村はブラザーと呼び合っている仲ですし、勝ちにこだわっている選手なので戻って来られてうれしい」

▽ロッテ岡(8回2死一塁から反撃の左中間適時二塁打)「あの場面は、とにかく後ろにつなぐことだけを考えて打ちにいきました」

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