阪神大竹耕太郎投手(28)に最高勝率のワンチャンが巡ってきた。

シーズン最終戦の4日ヤクルト戦(神宮)に先発し、勝ち星を挙げればタイトル規定の13勝に乗る。一方で現在勝率1位のDeNA東克樹投手(27)がチーム2位をかけ、同日の最終巨人戦(東京ドーム)に先発することが決まった。大竹が勝ち投手、東が負け投手になった場合、大竹が大逆転フィニッシュできる可能性が生まれた。消化試合が一転、熱い神宮ナイトになりそうだ。

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1度は遠のいた最高勝率の初タイトルへ、シーズン最後の143試合目で思わぬチャンスがやってきた。逆転できる可能性が生まれたことに、大竹は「おお、マジか」と驚きを隠さなかった。DeNA東に大きく差をつけられ、9月30日広島戦の先発を回避。だが、わずかな可能性が残っていたため、4日ヤクルト戦の先発準備を行ってきた。

熾烈(しれつ)な2位争いが、大きく状況を変えた。前日1日に阪神が広島に勝ち、DeNAが勝ったため同率2位で2球団が並んだ。DeNAは4日の最終巨人戦に勝てば、単独2位でCSの本拠地開催を勝ち取れる。そこで16勝の勝ち頭、東を先発させることが決まり、タナボタで大竹にワンチャンが巡ってきた。

大竹が勝率を逆転し、タイトルの規定を得るための条件はただひとつ。大竹が勝ち投手となり、東が負け投手となることだ。そうなれば、13勝2敗の大竹の勝率は8割6分7厘、16勝3敗の東の勝率は8割4分2厘で上回る。ともに4日、午後6時開始のナイターで先発する。大竹は「同じ時間に、同じ東京で投げるんで。まあ、同学年だし、球宴でも結構仲良くしゃべったんで。2人ともしっかり投げて頑張れば、結果はもう、その後という感じ」と、スポーツマンらしい意気込みを明かした。

もちろん、CSに向けた大事な調整の場でもある。「(ヤクルトは)右のいい打者が多いので、右打者への攻め方をもう1回試したい」。今季は左打者の被打率は2割7分9厘で被本塁打は1。一方右打者は2割1分2厘も8発を浴びるなど長打を多く許している。

8月30日のDeNA戦(甲子園)では牧に決勝3ランを浴びた。短期決戦で同じ失敗は許されない。ヤクルトの塩見、山田、オスナ、サンタナを、DeNAなら牧、宮崎、ソト。広島なら堂林、末包、デビッドソンに見立てる。「昨年までは怖いから外の配球になっていた」と明かすが、今回は内角にも投げ込み、より投球の幅を広げる構えだ。

14日にリーグ優勝を決めた後、チームは5勝8敗1分け低空飛行が続く。CS前最後の公式戦を快勝で締め、ポストシーズンに弾みをつけたい。【石橋隆雄】

◆最優秀勝率 勝率は投手の勝利数を勝利数と敗北数の合計で割った率で計算。セ・リーグでは13年から、投球回数と無関係に13勝以上の投手(20年は10勝以上)を対象にタイトル表彰している。現行の規則となってから、阪神の投手が獲得したのは21、22年の青柳のみ。大竹が獲得すれば、阪神勢が3年連続となる。

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