阪神村上頌樹投手(25)がうなだれた。三塁側ベンチで、タオルで顔を覆い、うつむいた。5回を投げ今季ワーストタイの4失点。第1戦では7回無失点でオリックス山本に投げ勝ったが、ここ一番で「差」を見せつけられた。「やっぱり、投げる球とかすごい。(自分と山本は)全然違う」。足りないところは「全部」と即答した。

こん身の1球が痛打された。1点を先制してもらった直後の2回。若月に自己最速154キロを適時打にされるなど2失点。5回には紅林に2ランを被弾。球団史上3人目となるシリーズ2勝目とはならず、38年ぶりの日本一をこの試合で決めることはできなかった。

立ち止まる気はさらさらない。「スライダーくらい投げられたらいいなって思うんです」。同じ横変化のカットボールを持つが、直球に合わせてくる打者に拾われる。そんなシーンが今季たびたびあった。「そういう時に曲がりの大きなスライダーがあれば」。目指すは大きく横滑りし、120キロ台後半で相手のバットから逃げるように変化するボール。今オフにも新たにチャレンジする覚悟だ。進化し続けてみせる。

今後の成長につながる試合か? と問われると「それは今後の自分次第なので。この気持ちをしっかり持って練習できるかだと思います」と言った。まだ終わっていない。あとは仲間に託すのみだが、気持ちを切らすわけには行かない。「しっかり応援して勝ってもらいたい」。願いは仲間がかなえてくれる。【中野椋】

【熱戦!日本シリーズ特集ページ】