巨人阿部慎之助監督(44)が10日、侍ジャパンとの練習試合(清武)で“初陣”を白星で飾った。投手陣は4投手の完封リレーで四球はわずかに1。実績で上回る相手打者から逃げずに押し切った。8回には2安打だった1年目の萩尾匡也外野手(22)に3バントを指示し、成功させた。秋季キャンプ中に徹底させている、ど真ん中投球、超積極走塁を実践し「アベの野球」の一端を披露した。

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困ったら? ど真ん中。阿部監督が無言でマウンドをじっと見つめた。6回2死、堀田が秋広に変化球を3球続けて3ボールとされた。「技術的に全部アウトローに放れと言っても無理。ああいう投げっぷりというのが大事なんだなと、(堀田)賢慎が投げている時に見ていました」。4球目はど真ん中付近に直球、カウント3-1からも直球で押し切り右飛に仕留めた。

今季はリーグワースト2位の401四球で、投手陣が自滅した。就任直後の秋季練習、同キャンプでも「ど真ん中投球」を推奨。この日は捕手陣に甘めに構えさせて「基本、3球勝負で行けと。2ストライクで打たれても勝負だと思っていけば打たれてもいい」と徹底させた。松井(1勝)堀田(2勝)育成ルシアーノ(0勝)直江(1勝)が完封リレーでつないだ。

やれば? いいじゃん。8回1死一塁で犠打のサインに萩尾が見逃しとファウルで追い込まれた。阿部監督からのサインは変わらず3バントで、走者を進めた。「3バントをやらせましたけど、ああいう野球をしていくので、今日、みんなが分かってくれるのではないかなと思います」とうなずいた。

迷ったら? 行け。試合後のタイブレークの練習でも収穫があった。一死二、三塁から増田陸の左前適時打で二塁走者・湯浅が思い切りよく本塁に突入すると、左翼手藤原の返球がそれて生還した。なお1死一、二塁から立岡の定位置付近の中飛に二塁走者・増田陸がタッチアップで三塁を陥れた。積極走塁で実績、実力で上回る侍ジャパンを追い詰め「相手にプレッシャーをかけられた。そういうところは素晴らしかったなと」と評価した。

「アベの野球」の一端をのぞかせた。「収穫の方が多かった。とてもいい1日だったんじゃないかと思いますね」としつつも、まだ序章にすぎない。「目には見えない大きなミスがあった。たぶん見ていても分からなかったであろうというミスがこちら側であった。そこはしっかり反省してもらいたい」と阿部監督。目指す方向は明確に定まっている。【為田聡史】

▽巨人萩尾(先制打を含む2安打1犠打)「(3バントは)めちゃめちゃ緊張しました。でも、来年はそういうのを求められると思うのできっちり決められるように準備したい」

▽巨人堀田(2番手で登板し3回1安打無失点)「打者有利のカウントで、腹をくくって『打てるものなら』っていう感じで投げられれば、全然球の勢いも違う。今日、久々にいい感覚というか。真っすぐも引っかかりがあったので良かったなと思います」

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