阪神は14日、育成選手の野口恭佑外野手(23)と支配下選手契約を締結したことを発表した。支配下の契約金は1000万円、年俸は420万円(金額は推定)。来季連覇を目指す岡田阪神に、強打の右打ち外野手が“新戦力”として加わることになった。

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阪神に育成指名で入団した選手が、シーズン終了後に支配下となるケースは珍しい。

直近では20年育成ドラフト1位の岩田将貴投手(25)が22年7月に支配下契約を締結。今季、1軍戦力として日本一に貢献した小野寺暖外野手(25)は21年4月に支配下選手となった。

その他、現在エイジェックでプレーする石井将希投手(28)は20年9月、片山雄哉捕手(29)は19年7月と、いずれもシーズン中のもの。シーズン終了後に支配下選手が誕生した例は、14年11月に支配下契約を交わした島本浩也投手(30)までさかのぼる。

なぜ、このタイミングでの支配下契約となったのか。

嶌村球団本部長は「基本、今までシーズン中が多かった」と認めつつ「監督も非常に評価されてるというところで、そこが大きいかなと」と明かした。岡田監督が野口を直接チェックするのは、秋季キャンプが実質初めて。柵越えを連発する姿を見て、強い「リストワーク」を評価していた。 同本部長が「監督の方からそういうのがあって。支配下でいけるんちゃうかなという話を。こちらも、いずれかのタイミングでっていうところもあった」と話すように、フロントと現場の意見が一致したとみられる。「それなら監督、14日に契約更改があるので、もうそこでいきましょか、という話を相談させていただいて」と経緯を説明した。

さらに「キャンプ中で本人の励みにもなるだろうし、周りの選手の刺激にもなるだろうというところで、このタイミングになった」。若手選手が集うキャンプ期間。指揮官も「今はシーズン戦って体はできている時期だから」と技術向上に最適な時期であると、繰り返し話してきた。そんな大切な11月の「野口支配下」には、周囲の発奮材料となる期待も込められている。

岡田監督は来季連覇へ向けて「当然、新しい力が必要よ。やっぱり野手や」と話しており、野口も“新戦力”として期待がかかる。12月には台湾で行われるアジアウインターリーグの参戦も控える若武者にとっては、鍛錬の冬を過ごす上でのモチベーションも変わってくるだろう。

11月の支配下契約締結は、多岐にわたってプラスに働く可能性があるといえる。【阪神担当 中野椋】

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