虎ナインが一気に戦闘モードに切り替わった。阪神新選手会長の中野拓夢内野手(27)が、キャンプイン前日の1月31日、岡田監督の熱い思いに呼応した。沖縄・恩納村内のチーム宿舎で行われた1軍ミーティング。指揮官の約10分間にわたる大号令で「去年よりも今年の方が勝ちたい」と、球団史上初となるリーグ連覇への本音を伝えられた。背番号51も奮い立った。
「連覇できるのは自分たちだけ。監督の熱い気持ちも伝わりました。個々の能力を上げて、連覇できるようにやっていきたい」
新選手会長は報道陣の取材で計7回「連覇」という言葉を用いた。岡田監督の熱を全身で受け止め、自然と勝利への執念がほとばしった。
1年前とは違った空気だった。岡田監督にとって、戦力の「見極め」が最重要課題だった昨年の春季キャンプ。中野は「昨年のミーティングでは正直、勝ちたいっていう言葉があまり出てきてなかったかな」と振り返る。「今年の方が、勝ちたいっていう言葉はすごく言っていました」。指揮官には05年リーグVの翌年、06年は2位に終わったことを「何の意味もなかった」と回想された。「優勝した翌年で優勝しなければ『頑張ったね』と言ってもらえなかったと言っていたので、本当にそうだと思う。優勝あってこそ」と力強く同意もした。
午後5時30分ごろから始まったミーティング。開始前は「柔らかい雰囲気」だったというが「良いお話をいただいて、明日からいよいよ始まるという気持ちで引き締まる」と真剣にうなずいた。個人としても「頑張り過ぎて、けがをすることが一番もったいない」。細心の注意を払い、1カ月を過ごしていくつもりだ。
球団はこの日、阪神選手会が1月1日に発生した能登半島地震の被災地支援のために義援金100万円を寄付することを発表。春季キャンプでは1、2軍ともに募金箱を設置し募金活動を実施する。「たくさんの皆さんに元気、夢や希望を与えられる職業でもあると思う。しっかりと被災された方に届けられるようにやっていきたい」。熱い決意を胸に、球春到来に臨む。【中野椋】