首位阪神が「浜風」に背中を押され、逆転勝利を決めた。1点ビハインドの7回2死一、二塁で、4番大山悠輔内野手(29)の飛球は左翼前へポトリと落ちる2点適時打。岡田彰布監督(66)も「ちょっと諦めた」という風に流された千金打で2連勝とつかみ、貯金を今季最多の5とした。

この日は右翼から左翼方向へ甲子園特有の「浜風」が吹いていた。球場から一番近いアメダス神戸観測所のデータをもとに、虎党歴20年超の気象予報士・橋本祐佳氏が、この日の風について解説した。

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「浜風」とは、気温が上昇したよく晴れた日に、球場の南西から吹き込んでくる海風のことをさす。橋本氏は「海と陸の気温差が大きいほど、海から陸に向かって吹く風が強まる」と説明する。

気温がそこまで高くない4、5月は「そんなに浜風は吹かないデータがある」とするが、この日は違った。甲子園から最も近いアメダス神戸観測所のデータでは、神戸は今年一番の暑さとなる最高気温25・9℃を記録。今年初めての「夏日」で、6月上旬並みの暑さになったという。「今日は、海と陸との気温差が大きくなったと思います。それで風が強かったんだと考えられます」と続けた。

また、ここから甲子園周辺の天気は、くだり坂の予定。時計回りに吹く高気圧が西から東へ離れていく途上だったことも、影響したと考えられる。「高気圧が東に離れていく時は、ちょうど南の方から風が吹きやすくなる」とする。「夏日とくだり坂の天気。2つの要因が重なったのでは」と、虎を勝利に導いた神風を分析した。

【動画】浜風か、神風か 阪神大山悠輔がレフト前ぽとり適時打