開幕から主に4番を任されてきた広島堂林翔太内野手(32)が4月27日中日戦から3試合、スタメンから外れた。3試合連続でのベンチスタートは今季最長。起因は25日ヤクルト戦の走塁にあった。

広島が最大4点ビハインドから追いつくなど試合序盤から点を奪い合って迎えた6回。2点を勝ち越した直後の2死一、二塁で、前日まで直近5試合20打数3安打、この日も2三振を含む3打席凡退だった4番が打席に向かった。

カウント1-2から清水の直球をたたいて投手右を抜けた打球は、二塁手山田の滑り込みながらの逆シングルに阻まれた。だが、三遊間深くポジションを取っていた遊撃手長岡のベースカバーが遅れ、一塁走者野間の懸命な走りから左足を潜り込ませてフォースアウトを阻止。2死満塁かと思われた直後、長岡から転送された一塁手前ですでに速度を落としていた堂林がタッチアウトとなった。

打撃の調子を落とし、好機の打席で感触の良かった当たりが阻まれた落胆が視界を狭めたのかもしれない。開幕から背負った4番の重圧もあったことだろう。ただ、どれも正当化できるものはない。誰より、堂林自身が重く感じている。

「(結果が出ていない状況に)引っ張られたところはありましたけど、普通にやっていればああいうプレーはない。(打球を)取られて二塁に送られた時点でアウトだなと判断してしまった。判断ミスじゃない。怠慢走塁です」

8回2死二塁の打席では代打が送られた。交代が、あの走塁だったことは明白。懲罰の意味合いが強かった。選手会長としての強い責任感もあり、自責の念にかられた。

移動日を挟み、27日中日戦の練習前バンテリンドームの監督室に呼ばれた。現役時代ともにプレーし、現役最後までどんなときでも全力疾走を怠らなかった新井監督が眼前にいる。

「かばえるミスとかばえないミスがある。あれは後者だ」。

あのとき二塁に滑り込んだ野間の姿のように、全力疾走は新井カープの徹底事項だ。告げられた同日のスタメン落ち以上に、感情を抑えようとする指揮官の表情が辛かったに違いない。

「野球で取り返すしかない。先頭に立っていくべき立場にいるに、情けない。そういう立場以前に、野球選手としてやってはいけない」。

30日の阪神戦、堂林はベンチ前列で声を張り上げた。日々の姿勢を知る者なら何か理由はあったと分かるだろうが、チームに影響を与えたのは事実。失い、崩れたものがあるのなら、ここからまた積み上げていくしかない。【広島担当 前原淳】