球界最年長44歳のヤクルト石川雅規投手が「日本生命セ・パ交流戦」の楽天戦で、史上初の新人から23年連続勝利を挙げた。5回4安打無失点で、今季初勝利。23年連続勝利は工藤公康(横浜)、山本昌(中日)、三浦大輔(DeNA)に並ぶプロ野球記録で、歴代最多を誇る交流戦の通算勝利数を29に伸ばした。通算200勝まで、残り14勝。頼れるベテランがチームに今季交流戦初勝利をもたらした。

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「最近さ、目悪くなったんだよ。たまにキャッチャーのサイン見えないもん」。冗談っぽく笑う石川の視界は一層、悪くなった。試合開始から降り出した霧雨は、いつしか土砂降りに。ただ、見えているものだけが全てではないと知っていた。直球はシュートと同じ最速130キロ。高速シンカーでも120キロ台。「160キロ投げられるもんなら投げたいよ」と言うが、110キロ台の遅いシンカー、99キロのカーブ、スピードガンでは測れないボールも妖艶に操り、5回4安打無失点。「必死ですよ」。試合は降雨で一時中断し、30分待ってコールドゲームに。いろんな物事に目を向ける眼力で、視界が遮られた悪天候も、今季初勝利も球界最長の23年連続勝利もクリアした。

見えない世界にアンテナを張る。時折、言う。「死後の世界ってどうなんだろう? 誰も証明出来ないよね。俺は地獄行くのかな? 天国かな? どんな場所なんだろう」。休日には裁判所を訪れ、裁判を傍聴することも。「野球しかしてこなかったからさ。知らない世界ばかりだなって。例えば、何でこういう事件になったんだろうとか考えさせられる」。数字では測れない、心情に触れる。

ある日は、23年のWBC日本代表で侍ジャパンのヘッドコーチを務めた白井一幸氏(62)の講演を聞きに行った。「『目標と目的は意味が違う』って言葉が忘れられない」と心を整理。「人がやったことないことをやりたい。『50代で現役は無理』とか言うけど、分からないじゃん。何年かかるか分からないけど、200勝もしたいし、するよ」と目標を見据え「大好きな野球を一生かけて、愛される選手になりたい」と目的を明確にした。

中学1年時は身長137センチで、整列の「前へならえ」は、いつも先頭だった。今も公称167センチ。「大きいやつに負けたくないね」。目に見える数字が全てじゃない。分かっているから、ここまで来た。【栗田尚樹】

▼ヤクルト高津監督(石川について)「しっかりと答えを出してくれたので、100点だと思います。体は小さいですけど、人が持っていない、いろんな強さを持っていると思いますね」

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