虎の20年「黄金ドラフト」の秘密兵器が鮮烈なデビューを飾った。7月下旬に支配下に返り咲いた阪神佐藤蓮投手(26)が、プロ初登板でパーフェクト投球を決めた。7回に3番手で登板し、最速153キロを計測。得意のカーブ、フォークを駆使し代打東妻、梶原、牧を3者凡退で仕留めた。
「(声援は)全く聞こえません。気にしてる余裕もなかった」。無我夢中だ。佐藤輝、伊藤将、村上、中野、石井らと同期入団の大器が、やっと1軍マウンドで躍動した。
プロ野球生活は悪夢から始まった。プロ1年目の1軍キャンプ。紅白戦で事件は起きた。近本に死球を与えるなど制球が乱れ、ゲームは異例の途中打ち切り。「あの時はひどかった…」。自らも受け入れる「ノーコン」のレッテルは、なかなかはがれなかった。
今年2月。岩崎との食事の席での会話で野球人生が変わった。「ツーシームの握りで投げたらストライク入るんです」。先輩からは「ずっとそれでいこう」と背中を押された。そこから「きれいな真っすぐは捨てました」。ど真ん中めがけ、動く直球で勝負する。岡田監督も「暴れそうで暴れない。武器かもわからん」と評価。CSでの起用の可能性は薄いが、来季へ向けて大きな糧を得た。
「ずっと使っている」という秋山のグラブで好投。プロ1年目には「飲みの席で秋山さんを“つぶして”しまった」という酒豪だ。とにかくエンジンがデカい。今季限りで引退する先輩へ、滑り込みで晴れ姿を見せることができた。ロマンあふれる男が堂々のスタートを切った。【中野椋】



