故きを温ねて新しきを知る-。王子(春日井市)に21年ぶり2度目の優勝をもたらした湯浅貴博監督(52)は、先人達の歴史を大事にしながら監督業に生かしてきた。

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康…。コーチ時代に戦国武将たちの歴史をひもとき、彼らの国造りや戦略を学んできた。

湯浅監督 徳川家康でありたいという思いを持ったり、織田信長のようになっていかないといけないと思ったり。豊臣秀吉のように成り上がっていかないといけないところもあったり。歴史をさかのぼると、戦国時代は戦(いくさ)に行く上で大将がやられてしまったら士気が下がる。そういうことを学びながら、どういうチームが強いのかを考えてきました。

勤勉な湯浅監督にとって理想のリーダー像は、中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏だ。21年に監督就任するにあたり落合氏の書籍を読みあさった。「喜怒哀楽を出さない。一喜一憂しない。ずっと1点を見つめながら、どっしりと構えているのは簡単にできることではない。落合さんの本を読みながら、その理由が分かりました」と敬意を惜しまない。

決勝戦を含む今大会5試合のうち3試合は、終盤にビハインドをひっくり返して勝利をつかんだ。ベンチでマスクを着けて表情を包み隠す。「粘りの王子」「逆転の王子」とライバルから恐れられるチームを作りながらも「(豊臣秀吉に仕え天才軍師と称された)黒田官兵衛のようなコーチ陣、アナライザーたちが私を支えてくれたんで」と武功迷わずに譲る。労を惜しまなかった縁の下の力持ちを真っ先にたたえる姿に、懐の深さが現れた。【平山連】