9回、登場曲「開幕宣言」が鳴り響いた。大歓声を背にロッテの20歳右腕・木村優人投手が、力強くマウンドへ向かった。「曲を聞いて気分も上がった。絶対に抑える気持ちだった」。その言葉通り、圧巻の投球を披露した。
7回1死まで走者を許さず。西武滝沢に中前打を浴びるも9回3安打7奪三振で無失点。プロ2年目で初の完封勝利を手にし、これが今季チームにとっても初完封となった。吉井監督は「初回から真っすぐ主体のピッチングで素晴らしかった。この経験は大きい。プロでも完投、完封できることが分かった。自信を持って次も投げてもらいたい」と若きエース候補をたたえた。
直近は悔しい登板が続いていた。16日のオリックス戦では5回7失点。4日の日本ハム戦も6回6失点で「春先の感覚が薄れていた」が「しっかり修正して投げた」。憧れの先輩がいる。母校霞ケ浦(茨城)の先輩、広島遠藤だ。自宅は徒歩10分ほどの近さで兄が同級生。幼いころから公園でキャッチボールをし、昨年末にも一緒に腕を振った。「1軍の投手のボールのキレとかバッターの違い、駆け引きや球の強さを学べた。一つ一つ積み重ねる大切さを確認できた時間だった」と成長につなげた。
「この1年間は自分の中でプラスな1年間だった。無駄にすることなく来年につなげて、自分のピッチングの確率を上げていきたい」。まだ20歳。プロ野球人生の幕は、開いたばかりだ。【星夏穂】
◆木村は霞ケ浦から23年ドラフト3位で入団した高卒2年目。ドラフト制後、ロッテの高卒新人が完封した例はなく、高卒2年目の初完封は球団最速タイで69年村田兆治、90年前田幸長、09年唐川侑己(いずれもドラフト1位)に次ぎ4人目となった。チームで1人の投手が完封したのは136試合目で今季初。完封投手が1人もいなかった23年を除き、チームでは17年の118試合目を更新して最も遅い。これで22日の日本ハム戦からチーム3試合連続完封の球団タイ記録(10年以来15年ぶり5度目)をマークした。
◆木村優人(きむら・ゆうと) 2005年(平17)6月1日、茨城県土浦市生まれ。霞ケ浦では投手兼外野手としてプレー。3年夏は県大会決勝で敗れ、3年間で甲子園には届かず。23年のU18W杯で日本代表入り。同年ドラフト3位でロッテ入団。25年3月30日のソフトバンク戦でプロ初登板。184センチ、92キロ。右投げ左打ち



