ソフトバンクが2年連続の日本一を果たした。DeNAに4連勝。CSファイナルステージから無傷の7連勝で決めた。山本祐大捕手(28)が意地の一打を決めた。2点を追う4回2死二塁。目の前で4番栗原が申告敬遠された。スタンドからブーイングも響き渡るなか、今シリーズ初めてクリーンアップ起用された男が燃えないはずがなかった。

「気持ちが熱くなるものがありました。チャンスを絶対にいかそうと思った」

2球で追い込まれるも、カウント1-2からの4球目、外角高め145キロ直球を流し打ち。打球は右翼線で弾む。同点の適時三塁打だ。シーズン途中に退団した古巣への悔しさ、怒りの気持ちも「栗原さんだったので(申告敬遠も)あるんじゃないか」と冷静そのものだった。それでも、到達したベース上。声にならない声でさけび、両拳を力強く握りしめた。「気持ちが高ぶってしまった」。小久保監督も「古巣相手に敬遠されて打つ。大したもんです」と最敬礼だった。

試合も決定づけた。1点リードで迎えた6回1死一、三塁。片山の内角チェンジアップを仕留め、左翼へ打ち上げた。ダメ押し犠飛。日本一のかかる大一番で3打点の大活躍。守っても先発マスクで計6投手を好リードした。

今年5月に交換トレードで加入した。自身にとっても耳を疑いたくなるような突然の移籍。「ポジティブな人間じゃない」。感情は揺らいだ。不安も芽生えたが、現実を受け入れるしかなかった。「打てる捕手」の看板を引っさげ、新天地で再出発。終わってみれば「山本祐大がいたから…」。そんな声も挙がるほど、攻守での貢献度は計り知れなかった。

最後は空振り三振に打ち取ったウィニングボールをミットに収め、マウンドへ一目散に駆け込んでいった。試合後は優秀選手賞にも選ばれた。「想像できないような1年を過ごさせてもらった」。鷹の一員として見た頂点の景色に充実感がにじんだ。【佐藤究】