<横浜3-5楽天>◇7日◇横浜

 野村楽天がついに貯金を5とし、球団記録を更新した。エース岩隈久志投手(27)が9回3失点完投で、エースの品格を見せてハーラーダントツの9勝目を挙げた。横浜の先発を読み違えたが、そこはノムラ采配でカバー。早めの勝負手で代打の憲史外野手(31)が1号3ランで試合を決め、交流戦で再び単独首位に立った。

 岩隈がトップギアに入ったのは完投目前で迎えた無死一、三塁のピンチだけだった。「四球だけは出したくなくて」。4番村田をシュートで注文どおりの三ゴロ併殺に仕留めると、グラブをたたいて勝利を確信した。わずか98球での完投勝利だ。

 「そんなに力を入れなくてもボールが行ってくれた。球持ちがよかったんですかね」とサラリと答えた。横浜打線の早打ちを逆手に取り、シュートで詰まらせた内野ゴロは18を数えた。

 さわやかなエースの笑顔は、自宅の愛娘が心待ちにしている。今年5歳になる羽音(うた)ちゃんは、活躍を報じる新聞各紙を見るのが大好きだ。「大きく載ってると喜んで見てますよ。ルールなどは分かってないと思いますけど」と目尻を下げた。

 この日、チームは横浜の先発を左の那須野と予想し、オーダーには右打者をずらり。だが実際には右の小林が先発し、序盤の主導権を握られた。だが野村監督は「オーダーで負けて試合にも負けたらダブルパンチ。どうしても勝ちたかった」と、采配で挽回(ばんかい)に出る。まだ中盤の6回、代打の切り札憲史を投入した。これが代打3ランとなり、試合を決定づけた。憲史は、01年以来の代打弾に「久しぶりに会心の当たり」と怪力を見せつけご満悦。野村監督も「準備がだいぶよくなってきたな」と評価した。

 采配も決まり、岩隈も期待に応える好投でチームは貯金を5とし、球団記録を更新。交流戦でも単独首位に立った。自身も白星を楽天移籍後最多タイの9勝まで積み上げた。それでも野村監督は「あとは本人がエースの品格をますますつけてもらわないと。今のままじゃだめ」と、さらなる成長に小言を付け加えた。【小松正明】