<オリックス4-3中日>◇14日◇京セラドーム大阪

 中日の守護神・岩瀬仁紀投手(33)が、オリックス・カブレラにプロ入り初となるサヨナラ本塁打を浴びて今季2度目の3連敗を喫した。3回に藤井、6回にはウッズ、和田の連続弾など3本のソロで優位に運んだが、リードを守れなかった。この日、谷繁元信捕手(37)が今季2度目の出場選手登録抹消。交流戦の勝ち越しも消え、貯金は「3」に減った。

 岩瀬は打球が突き刺さった左翼スタンドをぼうぜんと見つめていた。1点リードの9回無死一塁、カブレラへの4球目。伝家の宝刀スライダーが内角高めに浮いたところをとらえられた。今季初被弾がプロ初のサヨナラ被弾。ショッキングな敗戦の事実を受け入れると岩瀬は少しうつむきながらベンチへと引き揚げた。

 「打たれたから何の言い訳もできません」。

 敗戦の責任を背負った岩瀬は帰りのバスへと歩きながらひと言だけ発した。先発川上が6回2失点。3-2と1点リードの7回からチェン、吉見が1イニングずつ抑えて岩瀬につないだ。理想的な必勝リレーで連敗を2で止めるかに思われた。だが、10年連続20セーブに王手をかけていた絶対的守護神がカブレラのパワーに打ち砕かれた。

 これで5月13日ヤクルト戦(神宮)以来、今季2度目の3連敗。交流戦の勝ち越しもなくなった。それでも落合監督は淡々とした口調で言った。

 「うちは岩瀬を中心にまわしているから、あそこまでつないで打たれたら仕方ない。負けてもさばさばしているよ。あいつの代わりはいないんだから」。

 岩瀬で負けた時、指揮官はいつもこう話す。それほど信頼は厚い。昨年の日本シリーズ第5戦の9回、完全ペースの山井を岩瀬に交代させた采配がそれを証明している。ただ、4番ウッズ、5番和田の主砲コンビが打ち、エース川上が投げても勝てないという事実は重くのしかかる。竜はいまだ地底深くもぐったままだ。【鈴木忠平】