日本シリーズが31日、日本ハムと巨人の対戦で札幌ドームで開幕する。日本ハムは3年ぶり3度目、巨人は7年ぶり21度目の日本一を目指す。日本シリーズでの対戦は、巨人が4勝2敗で制した1981年以来、2度目。日本ハムは、エース・ダルビッシュ有投手(23)が、1日の第2戦で先発することが濃厚になった。

 大黒柱が、土壇場でカムバックする可能性が高くなった。日本シリーズ開幕前日の30日、ダルビッシュが第2戦の先発候補に急浮上した。左臀部(でんぶ)痛など離脱要因のコンディション不良が解消されつつあり、調整ペースが上がり、メドが立ったもよう。この日、最終調整を完了した表情は澄み、口調は穏やかだった。「状態?

 変わらないッスね」。絶望視されていた09年の最終局面で、救世主になる準備を終えた充実感の表れのようだった。

 強い使命感から、急ピッチで登板に向けてきた。CS終了2日後の全体練習を再開した26日に、21日ぶりの本格的な投球練習を再開。中1日で28日にもブルペンへと入った。この日に関しては「入っていません」と否定したが、この日も投げていれば、登板2日前に投球練習を行うルーティンを完了していることになる。状況からみても、11月1日の第2戦のマウンドに上がる可能性が高い。

 精神的にも強く刺激を受ける材料があった。CS第2ステージで対戦した親交が深く尊敬している楽天岩隈の力投だった。第2戦で完投しながら、最終第4戦に劣勢ながら中1日で中継ぎ登板。周囲によれば、登板がなかったダルビッシュはエースとしての生きざまを見せられ、触発されたという。気持ちが折れそうだったときに、少なからず発奮材料も得ていた。

 実戦復帰すれば9月20日オリックス戦以来、42日ぶりのマウンドになる。本人の将来も考慮し、ここまで来季以降を見据えて慎重に経過を見守ってきただけに、当日の様子次第では、首脳陣が登板回避させる可能性もある。実際厚沢投手コーチは「とてもゲームの準備ができている状態ではない」との見方を示している。最終判断は、ダルビッシュとトレーナー側の意見を調整してからにはなるが、復活へ向かっているのは確かだ。

 [2009年10月31日8時27分

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