リストラ組の星になった!

 中日河原純一投手(36)が1日、名古屋市内の球団事務所で契約更改を行い、600万円から2400万円増となる3000万円でサインした。1年間の野球浪人を経て昨秋にテスト入団した苦労人は、今季は右のセットアッパーとして3勝15ホールド、防御率1・85の活躍。5倍増の一発更改となり「今年1年投げられてうれしかった。テストでとってもらった気持ちを忘れずに、来年もやっていきたいと思う」とさらなる飛躍を誓った。(金額は推定)

 プロの世界で天国と地獄を味わった中日河原が、再び大きな夢をつかんだ。年俸600万円から一気に5倍のジャンプアップ。最近の中日の日本人選手では、07年オフに600万円から5000万円に上がった中村紀(現楽天)に次ぐ上昇率だった。

 今季の中日では30万ドル(約2700万円)から6倍の180万ドル(約1億6200万円=契約時1ドル90円換算)に上がったブランコに次ぐ昇給率。迷わず1発サインした河原は「お金のことよりも、今年1年投げられてうれしかった。今年に限っては恩返しというか、そういう働きはできたかな」と、少しだけはにかんだ。

 94年にドラフト1位で巨人に入団した。02年には守護神として日本一にも貢献し、年俸も7500万円で更改。だが、05年に西武にトレードとなった後は結果を残せず、07年オフに戦力外となり、08年は野球浪人として1年を過ごした。「ただ、あきらめられなかった」。今季は5月中旬に1軍に昇格し、44試合に登板。右のセットアッパーとして3勝15ホールド、防御率1・85の好成績を残した。

 「1年間、実戦の場を離れたことで、自分を客観的にみることができ、その気持ちをマウンドにも持っていくことができた」。そして見事な復活。井出編成担当も「ここというところは全部抑えてくれた。今年、あのポジションを任せられる人は他にいなかった」と抜群の安定感を評価した。

 契約の席では、若手投手への指導役も依頼された。「リリーフは、投げる前にきちっと気持ちの整理をして投げることが大事。そういう話をしていきたい」。来年はブルペンの最年長として、後輩たちに河原イズムも伝えていく。

 年俸3800万円だった07年以来、3年ぶりの3000万円台となったが、今後も車の購入予定はなく愛車はママチャリのまま。「ドームは無理だけど、ナゴヤ球場はね」と、来年1月の合同自主トレには今年同様、ナゴヤ球場に自転車で通勤し、キャンプへの体作りに励む。

 もちろん、来季の目標は優勝だ。「優勝できなかったのがすごく悔しい。1年やってこられた喜びより、来年チームが優勝できるように。個人的には最低、今年みたいな野球ができるようにしたい」。衰えるのはまだ早い。中日で見事な復活をとげた右腕は、来季も終盤のマウンドでフル稼働する。【福岡吉央】

 [2009年12月2日10時16分

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