「167キロ男」がベールを脱いだ。楽天の沖縄・久米島キャンプ第3クール3日目の12日、新外国人フアン・モリーヨ投手(26=ツインズ)が初のフリー打撃に登板した。28球で安打1本、フェアゾーンへの打球がたった5本。唯一の安打を放った聖沢が思わずガッツポーズするほどの内容だった。剛腕モリーヨは本物か-。

 証言(1)対戦した聖沢

 「速い。馬原さん(ソフトバンク)より速い。右打者の方が怖いはず」…プレート三塁側を踏み、その上左足を三塁側に踏み出す。下半身が強い中南米投手特有の、力強いインステップだ。

 証言(2)目撃した阪神嶋田スコアラー

 「直球、スライダー、チェンジアップも低めにくる。“まとまったクルーン”という印象」…上半身を力任せにかぶせない。左足で粘り、ボールを長く持ち制球する。本人いわく「多くの投手の映像を見て、自分で研究した。クレメンスのフォームが理想」。“ロケット”を自力で手にしていた。

 巨人クルーンを「努力し地位を築いた。自分もそうなりたい」と尊敬する。ロージンバッグを使わず、寒風お構いなしに半袖を通すスタイルも共通している。モリーヨ自身「こんなにチェンジアップが落ちるとは」と驚いたように、日本球への対応は問題なし。軟らかいマウンドも「これからアジャストできる」と苦にしていない。「スピードは気にしない」と素っ気ないが、日を追い経験を重ねたら…。リーグを超え、最速王の称号を巡る争いが勃発(ぼっぱつ)するのは必至だ。【宮下敬至】

 [2010年2月13日8時44分

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