ソフトバンク大場翔太投手(24)が奪三振ショーでアピールに成功した。先発ローテ入りを争う巽真悟投手(22)岩崎翔投手(20)に大場を加えた“ドラフト1位トリオ”は13日、宮崎キャンプでのシート打撃に登板。3年目右腕の大場は「左殺しのスライダー」を武器に、打者13人に対して被安打2、6奪三振と力投した。投内連係の練習では3度の悪送球など失態を見せたが、減点を取り戻す快投となった。

 まさに主役だった。暖かな日差しと満場の拍手を浴び、背番号17がマウンドを降りる。今年最多2万4000人が詰めかけた宮崎を、最も沸かせたのは大場だった。シート打撃登板で打者13人に対して被安打2、6奪三振の圧巻ショー。「今の時期は投手にアドバンテージがあるから」。謙虚な言葉に自信がにじんだ。

 ライバルの巽と岩崎に先立ち、1番手で上がったマウンド。思い切りよく右腕を振り抜き、直球は最速144キロをマークした。三振を奪うたびにスタンドがわく。秋山監督も「球に力があった。いい結果だったね」と目を細めた。

 「左殺し」の新兵器が光った。外角のスライダーだ。昨季3割をマークした長谷川から空振り三振を奪うなど威力を発揮した。「左打者への外のスライダーを(オフに)一番練習してきた。自主トレで(同行した楽天永井から)ずっと言われてたので」。昨季は右打者を打率2割9厘、被本塁打1と封じたのに対し、左打者には打率2割4分3厘、被本塁打4と打ち込まれた。だが、この日は奪った6個の三振のうち、5個が左打者から。昨季13勝右腕の助言で身につけた武器が、さっそく結果を出した。

 減点を1日のうちに取り返した。約3時間前に行われていた投内連係練習では「笑いの主役」だった。3度の悪送球に捕球ミスと散々な内容で、観客席の少年にも笑われてしまった。秋山監督も「あわててるんだよな」と苦笑い。高山投手コーチからは「そういうところから足をすくわれることもあるからね」と戒められた。

 3年目の今季は「2ケタ勝利」が目標だ。1年目の08年は3勝、昨年も中継ぎで挙げた1勝だけ。「自分にプレッシャーをかける意味でも」。年下の巽や岩崎に負けるわけにはいかない。次回は16日の紅白戦に登板する見込み。今度こそ「ドラ1トリオ」の枠から抜け出し、ローテ入りを果たす。

 [2010年2月14日13時12分

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