マリナーズから阪神へ移籍した城島健司捕手(33)が“究極デビュー”を飾った。21日の紅白戦で「4番DH」で初出場。2回、初打席でカウント1-1から上園啓史投手(25)の137キロ直球をとらえ、左中間へ豪快弾を運んだ。タテジマのユニホームに身を包んだ初スイングでの1発に、ガッツポーズでベースを回った。初実戦で2打数1安打1打点と活躍し、強烈な輝きを放った。

 移籍後の初実戦で、名刺代わりなんてものじゃなかった。2回の初打席、上園の外角直球にパワーを爆発させた。追う中堅手田上をあざ笑うように、打球は左中間に飛び込んだ。初スイングで初本塁打の離れ業。首脳陣、同僚、相手スコアラー、1万2000人ファンすべてのド肝を抜いた。

 城島

 どん詰まりです。まあ風もあったし、球場も狭いし。ここで緊張しとったら試合に出れんて。

 一塁ベース付近で着弾を確認し、両拳を突き上げてガッツポーズ。しかもそのまま走って二塁ベースも回った。ホームでは大歓声にヘルメットを脱いで応えた城島は「恥ずかしかったです。照れちゃった」と振り返ったが、ファンサービスも絵になった。

 首脳陣に「どうしても打席に立ちたい」と直訴した紅白戦。1日のキャンプ初日の行事以来のタテジマのユニホーム姿だった。2打席目は渡辺の直球で遊ゴロとなってお役御免。真弓監督は「目立ってましたね。完全に狙って打ったんじゃないかと思うよ」と評価した。

 豪快に見えて、繊細な面も併せ持つ。試合中にわざわざ被弾した上園に近づいて「パフォーマンスをやったけど、悪かったな」と声をかけた。プロとしてファンを喜ばせ、味方もしっかりフォローする。繊細な面はバットにも表れた。この日、使用したのはマスコットバット。重量は試合用と同じ920グラムだが、材質がマスコットはアオダモで試合用はホワイトアッシュ。現在試合用バット2ダースを選別して準備中で、この日は試合用のバットは使わなかった。

 「(結果が)いいにこしたことはないが、シーズンにおいといたほうがいい。1本損した。年間に打てるホームランは決まっているから」とニヤリ。ジョーが、ド派手デビューで底知れない実力を漂わせた。

 [2010年2月22日8時33分

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