<中日8-0巨人>◇3日◇ナゴヤドーム

 新Gキラーが誕生した。2年目の中日伊藤準規投手(19)が先発し、6回を2安打無失点と好投。ベストメンバーで臨んだ巨人打線を完全に封じ込めた。これで昨年から巨人戦では8イニング連続無失点。森ヘッドコーチからも「十分過ぎる結果」と合格点を与えられ、目標である開幕ローテ入りどころか、宿敵倒しの切り札に浮上する可能性が出てきた。

 2年目伊藤が巨人打線を相手に、三塁を踏ませない堂々のピッチングを繰り広げた。

 1回、先頭坂本をフルカウントからフォークで遊ゴロに仕留め、勢いづいた。谷繁のサインに2度首を振って選んだ勝負球。「これを投げたら抑えられるんじゃないかと思った」。その後も最速145キロの直球に変化球を交え、強気の勝負で連打を許さない。プロ2度目のナゴヤドームで、テンポ良くアウトを重ねた。「今までやってきたフォームバランスがだいぶできてきて、制球力にもつながった。走者が出ても、とにかく失点をしないように心がけました。巨人は倒さないといけない相手。特別意識しているというわけではないが、自信につながった。日本一になっている打線を抑えられたのは、自分に生きてくる」と満足そうに振り返る。

 新たな「巨人キラー」としても名乗りを上げた。中日では杉下、権藤、星野、今中、そして山本昌が名を残している。昨年9月のプロデビューは巨人戦。ファーム日本選手権でも先発して6回途中まで巨人打線を無失点に抑えた。CS第2ステージでも第4戦に登板し、ラミレスを空振り三振に仕留めた。

 開幕ローテーション入りも現実味を帯びてきた。「1つ1つのボールはもっといい球が投げられる。とにかく開幕までに納得のいく球を投げられるようにしたい」と、甘いマスクを引き締めた。現状に納得はしていないが、それはあくまで理想が高い証拠。売り出し中の19歳が、シーズン中も何かやってくれそうな予感十分だ。【福岡吉央】

 [2010年3月4日8時36分

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