<中日6-5阪神>◇2日◇ナゴヤドーム

 城島に先制パンチだ!

 落合中日が5点差をひっくり返しての大逆転勝利を飾った。阪神との今季初対決は3回に5点を先制される苦しい展開だったが、4回に一挙5点を奪い返す猛攻を見せた。逆転タイムリーの森野将彦内野手(31)は新生阪神の象徴とも言える城島をあえて“無視”する作戦で、好調の相手をたたいたことを明かした。

 オレ竜打線が猛虎に襲いかかった。1-5とリードされて迎えた4回、阪神のエース安藤から新人松井佑、小山の連打と犠打で二、三塁とすると落合監督はすかさず、先発吉見をあきらめて代打野本で相手にプレッシャーをかけた。5球目に暴投で労せず1点を奪うと、ここから野本、井端、セサルとつながって1点差。なお一、三塁で打席には森野。「ここで打てば勝てると思った。バットに当たれば何かが起こると思っていました」。2番手左腕・筒井の変化球を左翼線へ落とす逆転の2点タイムリー。序盤の5失点をあっという間にひっくり返した。

 「すべてはあのワイルドピッチだよ。あれで流れが変わった。あの1点は大きいな。あれに助けられたようなもんじゃないか。野球の流れはこわいな」。落合監督は相手のミスでもらった2点目を勝負のポイントに挙げた。逆転した後は鉄壁のリリーフ陣を投入して逃げ切った。先発が崩れても、粘って、粘って、もぎとった価値ある勝利で連勝。再び貯金1とした。

 阪神は4勝1敗と首位で名古屋に乗り込んできた。メジャー帰りの城島が加入して生まれ変わった相手だが、オレ竜は冷静だった。決勝打を放った森野は打倒阪神の秘策を明かした。

 「みんなが城島さんを持ち上げるんで、あえてコメントを見ないようにしていた。きょうのニッカン、城島さんが見出しだったから内容は読まないようにしたんです。投手と勝負するわけだから、あまり考えないようにするためです」。

 配球をつかさどる捕手を意識すれば、するほど打者は術中にはまってしまう。あえて“無視”することで投手に対する集中力を保った。その結果が決勝打を含む3安打2打点。城島のいる阪神との第1ラウンドで、強烈な先制パンチを見舞った。【鈴木忠平】

 [2010年4月3日10時22分

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