<阪神5-0広島>◇20日◇甲子園

 金本と同い年の阪神下柳剛投手(41)が熟練の投球術で今季2勝目をゲットした。立ち上がりからピンチの連続でも、ホームだけは踏ませない。序盤は丁寧に低めを突き、ヒットも単打でとどめる。ボールが浮いてきた中盤も要所はピシャリ。6回を8安打2四球。5イニングで得点圏に走者を背負いながら無失点投球で、防御率もリーグトップに躍り出た。

 「あれだけ打たれたのに、野手のみんながよくキレずに守って、よく打ってくれました。本当にありがたいです」。試合中のコメントに感謝の気持ちを込め、試合後も城島をねぎらった。「粘りのリードでしょ。みんなのおかげ」。今季初のチーム完封を導き、それでも感謝を忘れなかった。

 初めての体験だった。タテジマに袖を通して175試合目。左翼に金本がいないのは初めてだ。同じ68年生まれで、同じ03年阪神移籍組。他人には計り知れない深いきずながある。「みんな1日1日一生懸命やっているよ」。多くの言葉はいらない。連続フルイニング出場が途切れた際も「カネが決めたことやから…」と思いは胸にしまった。背中で気持ちを示したかった。だから、打たれても打たれても、立ち上がった。

 08年4月、金本の通算2000本安打達成が近づくと、登板前日でも寒さの残る甲子園のナイター中、防寒着をつけて大記録を待ちわび、自身の休養日でも球場まで駆けつけた。過去にFA宣言した際には、金本から「残って一緒にやろうや」と電話をもらったこともある。ベンチから見守った金本のためにも勝ちたかった。試合後、下柳は安堵(あんど)の表情を浮かべていた。【佐井陽介】

 [2010年4月21日11時16分

 紙面から]ソーシャルブックマーク