<オリックス1-3日本ハム>◇19日◇京セラドーム大阪

 日本ハム・ダルビッシュ有投手(23)が快投で、交流戦覇者を痛快に打ち破った。お得意様のオリックス打線を8回7安打1失点。同カード8連勝で、自身6勝目を挙げた。140キロ台前後の高速チェンジアップを本格導入する、新スタイルでほんろう。チームへ仕切り直しのリーグ戦再開後、最初のカードで勝ち越しを決める連勝をもたらした。変幻自在のエースが最下位から、上位勢を猛追する起点をつくった。

 充実感が突き抜けた全身が、宙に浮く。ダルビッシュがマウンドではねた。2点リードの8回2死満塁。129球目、スライダーで後藤を空振り三振に切る。終盤の要所で勝者になった。その直前、2球連続で強烈なファウル。間違えば、それぞれ右翼線の長打、本塁打でもおかしくない当たりでも不敵だった。

 ダルビッシュ

 三振前の“何とか”って言うんで、自分ではプラスに考えた。

 交流戦V時にブームになったオリックスのように“アレ”とは表現しなかったが、野球界の通説の隠語を、きっちり証明した。

 高い資質が、同一カード8連勝を飾る1勝に詰まっていた。この日の軸になった球種の1つがチェンジアップ。前回登板した12日中日戦で「4球くらい投げた」と実戦で試投し、本格導入した。握りを変えて10キロ前後、球速を上げた。直球のように回転しながら、手元で微妙に変化。「打者も真っすぐと、見分けがついていなかった」。とっておきの“新球”が、接戦を制す防波堤になった。

 立ち上がりの初回1死一塁でいきなり後藤を一併に仕留め、確信した。3回以降は多投してカウント球、決め球にと会心の組み立てをした。直球も最速150キロで、キレも抜群でタイミングを外し続けた。ネット裏で視察したフィリーズ、ダイヤモンドバックスの米球団スカウトの度肝を抜いた。

 涼しく、本音を明かした。「オリックスには打たれた覚えがないので、普通にいけば大丈夫だと思った」。研究して対策を講じてくるライバルを先回りする、この日のような変わり身。強烈な自信の土台になっている。チームに今季初の同一カード3連勝に王手をかける1勝をプレゼントした。防御率1・51。23歳にして歴戦の大黒柱に、強さがみなぎった。【高山通史】

 [2010年6月20日11時46分

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