<巨人9-1阪神>◇5日◇東京ドーム

 「逆転の虎」はあえて牙を隠した。首位攻防戦の緊迫感が漂う東京ドーム。そんな中でも、阪神の真弓明信監督(57)は落ち着き払っていた。戦略的に“兵”を退く。5回だ。城島に代えて、プロ4年目の清水にマスクを任せた。6点を追う苦しいゲーム展開だが、今季は31度の逆転勝ちを誇る。実際に4月13日の同カードでも6点差をはね返した。今季最短の城島交代に「アクシデントか?」と問われ、少しの間を置いて「ちょっとね…。明日はたぶん出られるよ」と答えた。

 宿敵との重要な一戦で、積極的休養を命じたのだった。城島は試合後に「大丈夫。監督の判断なので」と話し、吉田バッテリーコーチはこう説明した。「疲れもあったと思う。点差が開いたら、休ませるというのもあった。でも、なかなか休ませる展開にならなかったから」。開幕から全試合でスタメン出場。捕手というポジションは腰や足などに疲労が蓄積しやすい。今季は接戦が多いため、攻守の要である城島を途中で外すことはなかなかできなかった。試合前練習では外野兼任の狩野に、捕手練習をさせ、今回のケースに備えていた。

 真弓監督の胸の内には、先を見据えた選手起用があった。球宴前の時期に、こんな考えを明かしていた。「ずっと試合に出ている選手は、休ませることを考えていかないといけない」。5年ぶりにリーグ制覇を狙うためには、1年間の長期的視野で戦いに臨まなくてはならない。「本当の勝負は9月後半」と指揮官は言い切る。勝てる試合は確実にモノにするが、そうではない場合、選手に無理を強いることはしない。この日がそうだった。

 1日で巨人に首位を明け渡したが、一喜一憂するはずがなかった。3日の初戦同様、2位転落の話題にニヤッとした。「これからでしょう」。勇気ある撤退が秋に実を結ぶと信じている。【田口真一郎】

 [2010年8月6日7時52分

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