<巨人12-5阪神>◇20日◇東京ドーム

 巨人が踏ん張った。阪神との首位攻防戦初戦で、沈黙していた打線が16安打12得点と爆発して4連敗でストップした。主将の阿部慎之助捕手(31)が右ふくらはぎ打撲を押して6試合ぶりにスタメンに復帰して攻守にけん引し、打線も“原点”のセンター返しで息を吹き返した。中日が負けたことで1日で2位に返り咲き、阪神に2ゲーム差に迫った。

 不思議と痛みは感じなかった。5-2で迎えた5回無死。巨人阿部は右足を力強く踏み込み、外角直球をフルスイングした。得意の流し打ちで、左方向へ打球はグングン伸びる。貴重な追加点となる36号ソロが左翼席に吸い込まれた。8回にも右前へダメ押しの適時打を放ち2安打2打点。右ふくらはぎの負傷を押して強行出場した主将は「試合に出た方が(右足の痛みを)忘れられる。開き直って出ちゃった方がいいのかもしれない」と、振り返った。

 6試合ぶりとなる阿部のスタメン復帰が、沈黙していた打線を眠りから目覚めさせた。打線のど真ん中に座る5番打者の存在感が、前を打つ主砲へのマークを甘くさせた。最近3試合でわずか1安打と不調だったラミレスは、キング争い独走の39号ソロを放つなど、3安打3打点と大暴れ。ここ4戦で3点しか挙げられなかった打線が、16安打12得点の猛攻を展開した。原監督も「なかなか打順を入れ替えても機能しなかったけど…。久しぶりだね」と声を弾ませた。白い復刻版ユニホームから従来のものに戻ったように、阿部の復帰がいつもの猛打をよみがえらせた。

 強行出場だった。13日の横浜戦でファウルチップを受けて打撲した右ふくらはぎの状態は予想以上に悪い。19日に代打で負傷後初出場したが、本来の力強いスイングができず空振り三振に終わった。この日もスタメンに復帰する可能性は低かった。原監督もこの日の朝は「(阿部の状態は)あまりよくない。これからの数時間で奇跡的に回復すれば分からないけどね」と表情を曇らせていた。

 だが、チームは前夜、4連敗でついに3位に転落。緊急事態に、阿部は“奇跡”を起こすと決めていた。遠征先の名古屋から始発の新幹線で帰京し、復帰への準備を着々と整えた。完治していない足で先発マスクをかぶれば大きなケガにつながる可能性もある。それでも起爆剤となるべく「やるしかない」と、出場を志願。試合開始2時間前の午後4時に、ゴーサインが出た。

 先発ゴンザレスら4投手をリードし、8回に代走を送られてベンチに下がった。試合が終わり、ホッとすると、再び痛みがおそってきた。「これからも辛抱しながらやっていくしかない。また明日頑張ります」。阪神とはまだ2ゲーム差。手負いの主将の負けられない戦いは続く。【広瀬雷太】

 [2010年8月21日9時12分

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