<阪神1-0巨人>◇18日◇甲子園
虎がベテランパワーで生き残った。首位中日への挑戦権をかけた阪神-巨人3連戦の第1ラウンド。0-0の7回、代打で登場した「アニキ」金本知憲(42)が二塁打で出塁し、「代打の神様」桧山進次郎(41)が右前に決勝打を放った。42歳が激走し、41歳が勝負強さを発揮。「虎の子の1点」を投手陣が守り切り先勝した。首位中日が敗れたため、1・5ゲーム差に縮め、20日にも優勝マジックが点灯する。
ここ一番ではやっぱり頼りになる。金本のバットが、巨人ゴンザレス攻略の突破口を開いた。7回1死、代打をコールされると、大歓声に迎えられて打席に入った。スライダー、直球、チェンジアップと3球続けて違う球を投げ込まれる。相手バッテリーが1発を警戒しているのは明らかな配球。しかしカウント1-3から2球続けてきたスライダーを振り抜き、右中間に鋭い打球をはじき返した。「中堅の動きを見て、そのまま(二塁へ)行った。打球判断はしっかりしている」(和田打撃コーチ)と、一塁を回ると加速。必死の形相で二塁を目指し、猛スライディングで好機を演出してみせた。
15日の横浜戦(横浜)では右肩痛による打撃不振から志願して先発を外れていた。この日が3試合目で放った初安打。移動休みの17日も甲子園で体のケアを行い、優勝争いへのサバイバルマッチに備えた。
42歳がつくったチャンスに、41歳桧山がこたえてみせる。2死三塁。集中力を研ぎ澄まし、ゴンザレスの初球真っすぐを仕留めた。右翼前の芝で弾む決勝打。逆転優勝へ勝ち続けるしかない虎を、ベテランコンビが救った。「前でカネもっちゃんがツーベース。強い気持ちでいきました。打ち合いで勝つのもいいけど、野球は1-0で勝つのが一丸で戦える試合だし、シビれますね」と、今季最多4万6972人の見つめるお立ち台で声を上ずらせた。
1つ年上だが、プロ同期生金本の執念に、心が動かないはずはなかった。しかも好投能見の代打。自分が打たなければ復帰勝利は届けられない。仲間との熱いきずなが生んだ「虎の子の1点」だった。そしてもう1人のベテランへの思いがある。13年間ともに戦ってきた矢野に引退の花道を用意すると誓っている。「まだできると思ってたし、今は寂しい思いでいっぱい。最後は矢野さんと一緒に優勝を味わいたい」としんみり言った。
16日横浜戦では9回裏の外野手がいなくなり、今季出場65試合目で初めて、1年ぶりの守備もこなした。「あと1人コールが聞けて良かったですよ」と、さらりと言うが、準備のたまものだった。今季はDHもない代打稼業だが、試合前練習でグラブを持たなかった日は1度もない。「ドキドキもするけど、一丸で勝った試合は士気が上がる。チームの力もつく。逆に落とすとダメージはデカイですから。上に中日がいて、巨人も3連覇中のチーム。僕らは常に挑戦者で、前に向かって進んでいくだけです」とおごりはない。
真弓監督は「手に汗握るというか、かなり緊張した。ベテラン2人がいい仕事をした。苦しい試合を何とか取れた。もうどの試合も落とせない。こういう試合を何とか拾っていきたい」と興奮気味に振り返る。逆転Vへの希望を持たせる1勝だ。【松井清員】
[2010年9月19日9時32分
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