<阪神8-3広島>◇25日◇甲子園
まサカなんて言わせない!
脇役で支える男たちが、真弓監督のタクトに操られて甲子園のカクテル光線に映えた。8番セカンドで先発の坂克彦内野手(25)は6回、2点三塁打で貴重な追加点を呼び込めば続く代打・林威助もタイムリーだ。指揮官が信頼して送り込んだ選手たちが、負けられない戦いでも活躍した。奇跡の逆転Vも、まサカじゃないんです!
真弓監督はベンチでじっと試合の流れを見つめていた。初回に新井の3ランで逆転したが、その後、動きは止まっていた。6回裏の攻撃。金本の飛球を三塁手・中谷が落球し、1死一、二塁となった。ここだ!
指揮官は立ち上がった。一塁走者に藤川俊を送り、打席には3試合連続で先発起用の8番坂。「前の2打席で凡退していたので、開き直っていった。積極的な気持ちだけは、忘れずに」。広島ジオの初球をとらえ、右翼線へ三塁打。藤川俊が快足を飛ばしてホームインする2点適時打になった。続く代打・林も中前にはじき返す。送り出した選手たちが次々と活躍し、一気の3得点で試合を決めた。
優勝争いは試合数の少ない首位中日が圧倒的優位に立っている。残り試合に全勝すれば、阪神の逆転優勝となるが、それは「奇跡」に近い。しかし指揮官はその2文字を嫌った。「何で奇跡やねん!
失礼な!」。無理だとは思わない。1戦必勝で臨めば、優勝への道は開ける。その思いがベンチワークとなって表れた。6回表の継投も攻めの姿勢だった。好投のメッセンジャーをイニングの途中で下げ、渡辺を投入。「球が浮き始めたから、思い切って下げた。渡辺がよく投げてくれた」。ピンチをしのぎ、チャンスを呼び込んだ。
試合前の練習で、真弓監督は1カ所にとどまることはない。内野ノックの捕球役を務めたり、投手として若手のバント練習に付き合う。と思えば、外野で打撃練習を見つめている。他球団の指揮官のように、打撃ケージ付近でじっとしていることはほとんどない。「なぜ、そこまで動くのか?」。指揮官は当然のように答えた。「ノックのときの送球ひとつにしたって、しっかりと見ていないと、選手を使えないじゃないか」。だから自分で体を動かして、ナインをチェックする。地道に続けてきた「観察」が選手起用に生きている。
5点リードの7回からは、久保田を2イニング起用する手堅い采配を見せた。試合の流れを渡さなかった。「もう少し早めに追加点を取っていかないと。これから落とせない試合が続くんでね」。逆転優勝は奇跡じゃない。綱渡りのような日々でも、真弓監督は信念のタクトを振るう。【田口真一郎】
[2010年9月26日11時37分
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