<中日2-3ヤクルト>◇2日◇ナゴヤドーム

 大歓声が心にしみた。中日井端弘和内野手(35)が「5番・二塁」でフル出場した。ヒットこそなかったが、6月9日楽天戦(Kスタ宮城)以来、4カ月ぶりのスタメン復帰。最終戦に詰めかけたファンの前で軽快な動きを披露し「ずっと出ないことには分からないけど、やっていけるなという自信は深くなった」と、納得の表情を浮かべた。

 最後にナゴヤドームに帰ってきた。6月に体調不良を訴え戦線離脱すると、1度は復帰したが、球宴後に再び出場選手登録を抹消された。ユニホームを着て本格的な練習を開始したのは1カ月前。それでも実戦復帰後の2軍成績は4試合に出場して14打数5安打、打率3割5分7厘。これまでに積み上げた経験でブランクを埋め、9月30日には1軍に緊急合流していた。

 この日は攻守で特注のサングラスをかけてプレーした。そのビジュアルは数カ月前とはまるで違っていた。09年キャンプでは右目の異常を訴えて戦線離脱したこともある。球団の方針で詳細は明かされてないが、体調不良の一因が目の異常だった可能性が高い。

 前日1日のビール掛けは“欠席”した。乾杯と同時に大盛り上がりの会場を1人、後にした。チームに貢献していない-。長くレギュラーを張ってきた男の意地だった。今後、5日に宮崎で開幕するフェニックスリーグにも参加する予定。「やるべきことをすれば戦力として考えてもらえると思う」。CS、日本シリーズに向けて、大きな駒が復活への道を歩み始めた。【桝井聡】

 [2010年10月3日9時47分

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