阪神が楽天からFA宣言した藤井彰人捕手(34)の獲得に動くことが14日、分かった。左ひざを手術した城島健司捕手(34)の来季開幕戦出場が絶望的となり、真弓明信監督(57)と黒田正宏編成部長(62)がキャンプ地安芸で緊急会談。近鉄時代はコーチを務めた真弓監督の教え子でもあり、強肩堅守を売りとする藤井に3年総額2・5億円を準備し、交渉のテーブルにつく構えだ。

 城島の来季開幕絶望を受け、阪神が捕手補強に動く方針を決定した。秋季キャンプ地安芸で真弓監督と緊急会談を持った黒田編成部長は「1つの方向性が見えてきた」と明言。FA戦線への参戦を表明した。ターゲットは楽天からFA宣言した藤井だ。奇しくも城島とは誕生日も10日違いの同じ34歳。脂の乗ったプロ同期生に白羽の矢を立てた。

 藤井は08年にリーグトップの盗塁阻止率4割2分9厘をマークし、岩隈とベストバッテリー賞に輝くなど強肩堅守が売り。今季は嶋の台頭で8試合の出場に止まったが、阪神は実力を高く評価していた。安定したキャッチングへの定評など、真弓監督が城島の代役の筆頭条件に挙げる「守り重視」にも合致する。何より近鉄でコーチを務めた当時の教え子で、力量は把握。開幕マスクを任せられる存在と判断したようだ。

 同じくFA権を持つ西武細川や広島石原については「レギュラーとして、常に試合に出たい意向が強い」(球団首脳)との情報をキャッチ。5月にも戦列に帰ってくる城島の復帰後も想定し、FA宣言しても獲得は見送る方針となった。

 今オフはFA市場における捕手の動きが活発で、争奪戦への発展も予想される。阪神は一層の誠意を持って獲得交渉に当たる。今季推定年俸4000万円の藤井に対し、3年契約総額2・5億円を用意。他球団が獲得に名乗り出た場合も、負けない条件を提示する方針だ。FA選手との交渉解禁は18日。監督は「それ以降ならはっきり(名前も)言える」と話すにとどめたが、即日アタックする構え。場合によっては、監督自身の出馬も辞さない。

 黒田編成部長は「甲子園に帰って球団社長、本部長と話し合う」と説明。今日15日にフロント首脳が緊急会談を持ち、藤井獲得のマル秘作戦を煮詰める。また藤井を逃した場合の、万が一も想定。「トレードはいつでも話し合いができる」(黒田部長)とし、並行して11球団で余剰戦力となりそうな捕手調査を継続する。二重三重の危機管理で、城島の代役獲得に全力を尽くす。

 [2010年11月15日11時9分

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