黄金ルーキーがVIP待遇で総仕上げをする。日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が、中嶋聡捕手兼任コーチ(42)を“1日専属捕手”として、開幕前最後の実戦マウンドに上がることになった。10日イースタン・リーグのヤクルト戦(戸田)では、ベテラン捕手の最終チェックを受ける。

 将来のエース候補を大切に育てたい-。そんな首脳陣の思いが見え隠れする決断だった。7日、福岡ヤフードームでの練習中に梨田監督が仰天プランを明かした。「斎藤が下で投げる時だけ、中嶋コーチを行かせようと思ってね」。調整のため、9日はケッペル、10日は斎藤が、埼玉・戸田市で行われるイースタン・リーグのヤクルト戦で先発予定。両日とも1軍は札幌ドームで練習が組まれているが、佑ちゃんの球を受けるために、中嶋兼任コーチが急きょ埼玉へ出動することになった。

 この日、練習を終えた斎藤は、ソフトバンクとの練習試合を最後まで見届けてチームとともに空路、東京へ移動。前日の6日には中嶋コーチらを相手に、約90球をブルペンで投げ込んでいた。「当たり前ですけどキャッチングがすごく良くて(投手の気分を)乗せてくれる。体が乗ってきたので、球数も多くなってしまった」と斎藤。今季、プロ25年目を迎えるベテランが鳴らす心地よいミットの音が、ルーキーの気分を一層、盛り上げたようだ。

 中嶋兼任コーチといえば1500試合以上の出場を誇る、現役最年長捕手だ。西武時代の99年には松坂(現レッドソックス)のデビュー戦でマスクをかぶり勝利投手に導くなど、注目ルーキーの扱いは手慣れたもの。日本ハム移籍後は06年セーブ王の守護神MICHEAL(現巨人)を支え続けるなど、投手からの信頼が厚い。中嶋コーチは言う。「課題がどうのとかじゃなく、ちゃんとした形で投げないとね。調整とかは(相手に)失礼。それなりに抑えに行かないといけない」。本番モードで勝ちに行く中で、注目右腕の仕上がりを最終チェックするつもりだ。

 お膳立ては整った。斎藤は「(2軍戦とはいえ)プロの打者に変わりはないので、全力で抑えに行くだけです」とやる気十分。東日本大震災の影響による日程調整などで流動的だった公式戦初先発は、開幕2カード目の17日ロッテ戦(札幌ドーム)で固まっている。強力な援軍を得て、デビュー戦への準備を整える。【中島宙恵】