<オリックス5-7ロッテ>◇20日◇京セラドーム大阪

 11年ぶりの勝利が、プロ5年目のうれしい初勝利になった。お立ち台に上がったロッテ山本一徳投手(28)は、いかつい顔をほころばせ「いやー、素直にうれしいです」と照れくさそうに笑った。

 1-4の5回1死二塁に2番手で登板。犠飛で1点を奪われたが、降板直後に味方が逆転し、勝利投手となった。タナボタでの勝利に「内容はよくなかったが、最少失点でと思った。野手に感謝」と頭をかいた。

 島根県の安来から1浪の末、一般入試で早大に入学した。大学時代は未勝利。日本ハムの4年間も勝ち星に恵まれなかった。「高3の夏は腰を痛めて外野手でした。恐らくは高2以来でしょう」。この日の勝利が実に11年ぶり。忘れかけていた白星の味だった。

 浪人時代は新聞配達も経験した。完璧に抑えての勝利でないところが、回り道をしてきた山本一らしい。「まだ、実感がわきません」。薮田から渡されたウイニングボールを握りしめながらも、まだ不思議そうな顔だった。【鈴木良一】