来秋ドラフトの目玉、亜大・東浜巨投手(3年=沖縄尚学)をめぐり、早くも争奪戦の様相を呈してきた。ヤクルトとソフトバンクが1位候補としてリストアップしていることが29日、分かった。2年連続で高校生野手を1位指名しているヤクルトは待望の「神宮の星」を高評価。杉内と和田がFAで流出したソフトバンクはこれまでの将来性重視から即戦力投手の獲得へとドラフト方針を転換した。これまでに阪神、オリックスも1位候補としてリストアップしており、ヒートアップは必至だ。

 ヤクルトが1位候補に、東浜をリストアップしていることが、分かった。10年は山田(履正社)、今年は光星学院・川上竜平内野手(18)と2年連続で高校生野手を1位指名したが、来季は即戦力投手の獲得が基本方針にある。球団関係者は「来年は東浜君を中心に、他の候補選手を見ていくことになる。高校時代から力は抜けている。1年目からローテーションの一角を担える力がある」と高評価している。

 ヤクルトにとっては待望の神宮の星だ。昨年は早大・斎藤をクジで外した。石川、館山、村中、由規らに続く先発投手の補強は急務で、人気面の期待も大きい。今季川島亮が楽天に移籍したことで、東浜が亜大1年時から付けてきた背番号「17」が空いた。球団では来季は他選手に付けさせない方針で、現在空き番号の背番号「18」とともに、東浜の入団が決まれば、ふさわしい番号を準備することになりそうだ。

 強豪そろう東都大学リーグですでに26勝(17敗)、17完封を記録し、他球団との競合は必至。例年はクジを外すリスクを嫌い競合指名を回避することが多かったが、東浜に限っては恐れずに指名するべきとの声が球団上層部にもある。亜大が春季キャンプを行う沖縄・東風平はヤクルトのキャンプ地沖縄・浦添からも近く、入学当初から視察してきた。他の指名候補の動向を並行してチェックしながら、来季はキャンプ、リーグ戦などで密着マークを続けていく。

 ソフトバンクも大学NO・1投手と評判の東浜を1位の最上位候補にリストアップした。08年センバツで優勝した沖縄尚学時代から才能を評価。亜大進学後も将来のエース候補として調査を継続していた。球団関係者は「即戦力の選手がドラフト1位の有力候補になる」と説明。来年のドラフトでは大学、社会人の即戦力投手を中心に調査を続ける方針で、東浜が最有力候補に浮上する。

 最速152キロの本格派右腕。沖縄尚学時代から1位候補に挙げられていたが亜大に進学した。多彩な変化球も操り1年からエース格の活躍を見せ、東都リーグでは17完封とリーグの完封記録を更新中だ。

 ソフトバンクは8年ぶりの日本一に輝いたものの、オフに杉内、ホールトンが巨人へ移籍、和田がメジャー挑戦と3本柱が抜ける。09年今宮、10年山下、11年武田と3年連続で高校生を1位で指名し、大学生投手が1位となれば08年巽以来4年ぶりとなる。これまで即戦力はFAや外国人で補強し、ドラフトでは将来性を重視して指名してきたが、方針転換を迫られる事情もある。他球団との競合は必至。リスクを背負ってでも即戦力右腕の獲得を目指してマークを続ける。

 ◆東浜巨(ひがしはま・なお)1990年(平2)6月20日、沖縄県うるま市生まれ。与那城小2年から野球を始める。沖縄尚学では3年時にセンバツ優勝。亜大では1年春から活躍し、東都リーグ通算26勝17敗。通算17完封はリーグ記録。11年秋は最高殊勲選手。ベストナイン3度。181センチ、70キロ。右投げ右打ち。血液型A。