本気になればゴロの山だぜ!

 ソフトバンクの新外国人、ブラッド・ペニー投手(33=タイガース)がアジアSBの韓国・斗山戦(28日・宮崎アイビー)に先発し、対外試合デビューを果たした。1回2安打で失策も絡み2失点。連打を許して本気モードに入り、最速146キロの直球でWBC韓国代表の金賢洙のバットをへし折った。打者6人の打球はすべてゴロ。メジャー119勝右腕が7割の仕上がりで貫禄の投球だ。

 まばたきが少なくクールさを感じさせるペニーの目がキッと細くなった。「打者に投げることに重きを置いている。結果は気にしない」。そう言いつつ、変化球2本を逆方向の左前へ運ばれ、戦闘モードに入った。

 1回無死一、二塁。09年WBC韓国代表の金賢洙を2球で追い込むと内角に146キロをズバッ。首位打者や最多安打を獲得し韓国で「機械熊」の異名を持つ好打者のバットをへし折り、一ゴロ。悠々とベースカバーに入った。

 本気になるとグンと球が走る。チェンジアップと小さなカーブも駆使し、4者連続の内野ゴロ。味方の失策で失点したものの、23球の対外試合デビューに持ち味をちりばめた。

 「思った通り。100%ではないが、ストライク先行で投げられた。ボールを投げないよう気をつけた」

 打者6人と対戦し、ボール判定は4球。打球はすべてゴロ。打たせてとるスタイルを示した。高山投手コーチは「打者を背負ってから力を入れているのが見えたね。開幕まで1カ月あるから楽しみが増えた。今の状態は7割でしょう。片りんがみえた」とメジャー119勝のオーラにうっとり。まだ7割段階で、4度計測した最速146キロにもペニーは「もっと速く投げようと思えばいける」とスピードアップを予告した。

 あごひげを蓄えた193センチの男が直球を投げるたびに「ウッ」と声を上げた。大物らしい威圧感があった。細川とサインが合わずマウンドを降りると、肩を抱きながら意思確認。降板後もベンチでコーチ陣を交えて話し込んだ。細川は「こうすればいいとかの話です。実戦だと気持ちも違うみたいですね」と明かした。細やかさを兼ね備えているから、本場でも白星を量産してきた。

 試合中に追加でブルペン投球し、お披露目の1日は終了した。「4月に向けて精度を上げていけばいい」と、さらっと自身の初登板が4月になることをにおわせた。開幕まで1カ月。秋山監督も「3人目から力入ったなあ。(調整は)もう任せるよ」。日本にやってきた大物助っ人の快投ショーはここから見どころが増えていく。