<オープン戦:西武1-4巨人>◇17日◇西武ドーム

 巨人は西村健太朗投手(26)を抑えに据え、12年シーズンを滑り出す。西村は17日の西武戦で9回に登場。3者凡退で無難に締めくくった。キャンプから順調に仕上がり、オープン戦4試合で無失点と好調を維持している。昨季抑えを務めた久保も開幕に間に合うが、股関節の手術明けで無理は禁物。まずはセットアッパーからスタートする。タフさが売りの生え抜き9年目右腕に大役が回ってきた。

 西村が最終回のマウンドに向かうことに、特別な違和感はなかった。相手は中島&中村。西武、というより今や日本球界を代表するスラッガー相手にも威風堂々としていた。「押し込めたし、コースも良かったと思う」と、軸球である直球で2人を簡単に封じた。球威、制球、連投が利くスタミナ。もともと持っている資質に抑えの適性がある。好調とあれば迷いなし。12年巨人は西村に9回を託す布陣を固めた。

 最も大切な資質であるメンタル面は、大丈夫なのだろうか。根が優しくて素直な男。周囲はそう見るのが自然だろう。自己分析もまた、素直だった。「失敗が大きくクローズアップされる。『巨人の抑え』の重みですかね。豊田さんも、上原さんも間近で見てきました。あの上原さんだって、最初は緊張してる感じでしたから。特別なんですよね」と大先輩の苦労を思い出した。「開幕のヤクルト戦でですよ。仮に4-3の1点差としましょう。いきなり『ピッチャー

 西村』ってコールされたら、僕マウンドに行けないと思うんですよ。びびっちゃって。ひっくり返されちゃったりしたら、眠れませんねぇ」と、おっとりした口調でつないだ。

 ただ、不安があるのかといえば違った。続けた言葉には生え抜き高卒9年目の覚悟と、責任感がぎっしりと詰まっていた。

 西村

 だから準備をするんです。練習してきたフォークは落ちるようになってきました。変化球の精度を高めて開幕に臨みたい。もし万が一、抑えを任せてもらえるのであれば、光栄以外の何物でもありません。うれしいし、やりがいを持って全力でやります。巨人の抑えを経験することで、投手としての幅が大きく広がると思うんです。絶対に。僕はこのチームで、できる限り投手を続けていきたい。

 先発、ロングリリーフ、中継ぎ。頑健な体で長く巨人投手陣を下支えしてきた。唯一経験のなかったポジションを務め上げることでもう1段自分を高めたい。9回の重圧を乗り越える純な向上心が、健太朗にはある。【宮下敬至】