<ロッテ4-3ソフトバンク>◇30日◇QVCマリン

 ロッテのドラフト1位、藤岡貴裕投手(22)が本拠地初勝利で球団の新人で56年ぶりとなる4月中の3勝目を挙げた。先発したソフトバンク戦は5回に3失点と崩れるなど不安定だったが、瀬戸際で踏ん張り、6回3失点でバトンタッチ。同期の同2位中後、同4位益田が7、8回と日本一軍団の反撃を封じ最後は守護神薮田が締めた。昨年最下位のロッテは、“ルーキーズ”の活躍で4月2位と好発進した。

 藤岡は同期の中後、益田とベンチ最前列に並び、最後の戦況を見守った。「薮田さん、頼みます!」と祈った。最後に薮田が投直を好捕して、緊張感から解放された。球団では56年の中西勝己以来となる新人の4月末までの3勝。快挙達成にも、同期3人そろったお立ち台で反省と感謝の思いを口にした。「ふがいない。この2人と薮田さんが抑えてくれて勝てた。打線にも感謝です」と控えめに笑った。

 球の走りはまずまず。だが直球が暴れた。初回は先頭から5球連続ボール。制球のいい左腕には珍しかった。味方が3点を挙げた直後の5回も連続四球と2本の適時打で一気に追いつかれた。過去2度、味方打線が3得点した直後の回に失点。攻撃が長くなった時にリズムが乱れた。この日はグラウンドコート着用でキャッチボールをして工夫したが崩れた。「ベンチでの肩の作り方をしっかりやらないと」と課題を覚えた。

 だが同期が救った。7回から中後が18球中17球の徹底したスライダー攻めで流れを遮断。8回には2日前に救援失敗した益田が後を継いだ。2日前の夜はホテルで寝るまで打たれた場面を振り返り、助言されたことをノートに書き込んだ。「自分はやれると思い、やり返す気持ちで投げた」。前回、同点打を浴びた松田を空振り三振に退け「ヨッシャー!」とほえた。

 1本の矢ではない。3本の矢だから活躍できる。中後は言う。「全員負けず嫌い。お互い、いい刺激になっている」。同期で感じたことを言い合う。益田も「体が突っ込んだとか、投げ方が悪いとか2人ともサラリと言う。同級生に言われて否を認めるのは難しいが、大事ですね」と認める。

 藤岡もプロ最短降板とはいえ、6回3失点で試合をつくり、2人の活躍を引き出した。西村監督も「信頼がなければあの代え方はできない」と認める。4月2位の原動力となった藤岡も「役割は違うけど、いい形で支え合えれば」と、ルーキーズの力を結集させることを誓った。【広重竜太郎】

 ▼ロッテ藤岡が3勝目。4月までに3勝を挙げた新人投手は藤岡の桐生一の先輩にあたる久米勇紀(ソフトバンク)が08年に3勝して以来。ロッテでは毎日時代の50年荒巻淳、榎原好(以上6勝)上野重雄(3勝)、56年中西勝己(3勝)に次いで球団史上56年ぶり5人目となった。