阪神が日本ハム・武田久投手(33)の獲得調査に乗り出すことが10日、明らかになった。今日11日に国内FA権を取得する予定で、2度の最多セーブを誇る右腕の去就に注目が集まるのは確実だ。阪神は、絶対的な守護神の藤川球児投手(32)のメジャー挑戦が決定的な状況で、リリーフ陣の補強が今オフの最優先事項に挙がっている。

 阪神がリリーフ陣の再編成に着手することになった。絶対的な守護神の藤川が、海外FA権を行使する決意を固め、来季のメジャー挑戦が決定的な状況だ。ブルペンの戦力が大幅にダウンするのは確実。就任した中村GMは「(藤川残留の)情勢はかなり悪いようですから、準備はしないと。いろいろなことを検討しないと。最重要課題です」と今オフの補強ポイントに挙げている。すでに五十嵐亮太投手(33=ヤンキース傘下3A)の調査を進めているが、新たな名前が浮上した。

 それが日本ハムの守護神だ。武田久が今日11日に国内FA権を取得する予定。パ・リーグを代表するリリーバーで、09年と11年にリーグ最多セーブを記録。06年に最優秀中継ぎ投手のタイトルも獲得するなど実績は十分だ。今季も24セーブを挙げ、チームの優勝争いに貢献している。球団首脳は「投手は何人いても困ることはない」と話す。タンパリングを考慮し、具体名を挙げることはないが、水面下で獲得調査に着手する方向だ。

 中村GMは藤川との直接会談で慰留に動くことを明言したが、メジャー流出も想定する必要がある。現時点では福原や筒井、榎田、渡辺らがいるが、現有戦力だけで戦うのは困難が伴う。先発組から中継ぎに転向させるプランもあるが、実績面で未知数な部分もある。武田久や五十嵐といったスペシャリストを獲得すれば、チームにとっても、大きなプラス材料になる。

 武田久は今季の年俸が2億3000万円(推定)と高額で、日本ハムの年俸ランクは「A」。獲得すれば、日本ハムに対し、金銭及び人的補償が発生する。リスクの高い補強になる恐れもあり、FA権を行使するかどうかも含め、慎重に調査を進めることになる。

 5位に低迷する阪神は生え抜きスターの育成を課題にしているが、大型補強によるチーム強化の必要性も否定しない。この日、坂井オーナーは「来年もお客さんを満足させるということもある。二兎(にと)を追うと言われるかもしれないが、それに挑戦しなければならない」と話した。若手、育成にドラフト、FA補強…。あらゆる選択肢を検討し、チーム再建に取りかかる。

 ◆武田久(たけだ・ひさし)1978年(昭53)10月14日、徳島県生まれ。02年ドラフト4巡目で日本ハム入団。06年に最優秀中継ぎ投手となり、日本一に貢献。09年からストッパーに転向し、09年と11年に最多セーブ。今季はここまで45試合に登板し4勝4敗24セーブ。防御率2・68。170センチ、73キロ。右投げ左打ち。

 ◆阪神の今オフ補強動向

 打線の不振が低迷の要因になっているため、打撃力アップが課題に挙がる。西岡や福留ら日本人メジャーリーガーの獲得調査を進めている。マートンとブラゼルの去就を検討していくとともに、新外国人の獲得に動く可能性もある。投手陣では日本ハム・武田久やヤンキース傘下3A・五十嵐が獲得候補に挙がる。ドラフトでは、春夏優勝に貢献した大阪桐蔭・藤浪の1位指名が決定的となっており、投手力の底上げを目指す。