クリスマス前に決着か-。阪神中村勝広GM(63)は21日、獲得を目指している福留孝介外野手(35)との交渉について「キャッチボールを続けてきたけど、遠投から塁間になってきた感じがします」と結論が近いことをうかがわせた。最終的にDeNAとの一騎打ちとなった福留争奪戦が、いよいよ終結を迎えようとしている。

 福留争奪戦の決着が近づいてきた。この日、西宮市内の球団事務所で報道陣に対応した中村GMは「現在大きな動きはありません」と現時点では答えが出ていないと前置きした上で「ここまでキャッチボールをしてきたけど、遠投からやや塁間になってきた感じがします。クイックモーションになってきた」と、交渉の進捗(しんちょく)状況を独特の言い回しで説明した。

 福留に対して中村GMは11月28日に初めて対面交渉した。その際、DeNAを上回る2年4億円プラス出来高(3年目は球団に選択権のあるオプション)を提示したとみられる。これで国内でのDeNAとの競争で有利な立場となった。ところが、今月に入ってDeNAが福留サイドと極秘接触。阪神と同等程度の条件を提示した模様で、条件面でのアドバンテージはほぼなくなった。

 FA選手らの移籍交渉が活発に行われる米国でのウインターミーティング終了後、メジャーからのオファーがなく、来季、米大リーグでのプレーを断念した福留は17日、代理人を通じて阪神とDeNAに希望条件の逆提示を行った。阪神は出来高部分を見直すことで対応。中村GMの表現を借りれば、ここまでは遠投だった。ただ、そこから塁間まで両者の距離が縮まったということは、福留サイドから再び逆提示があったか、阪神が最終提示を返したとみられる。

 関係者によれば、福留は交渉過程の中で「自分のまったく知らないところで数字が1人歩きしてしまっている」と困惑しているという。それに配慮して水面下での交渉を続けている中村GMだが、ここにきて遠回しな表現ながら大詰めが近いことをにおわせた。週明け、ジングルベルの音色に心躍るクリスマス前にも決着がつくのか。今年最後の補強策がいよいよ、最終局面を迎える。