WBC日本代表候補の中日吉見一起投手(28)が7日、出場を辞退した。昨年9月に肘頭骨棘(こっきょく)を骨折した右肘の状態が思わしくなく、この日、山本浩二監督(66)に直接電話で申し入れて了承された。代表候補者の辞退は初めてで新春早々、侍ジャパンを襲うバッドニュース。吉見は球団を通じて、苦渋のコメントを出した。

 吉見

 出場を目指して仕上げてきましたが、右肘の不安が完全には消えず、この状態で合宿に参加しても迷惑をかけることになると判断し、球団とも相談して辞退を決めました。選んでいただいた山本監督をはじめ、日本代表の首脳陣や候補選手、期待していただいたファンの皆様にも大変申し訳なく思います。

 初めて背負う日の丸に意欲満々だった。2日の自主トレ公開時も右肘は「問題なし」を強調。すでに80メートルの遠投を始め、今月中旬にブルペン入りする予定だった。だが3月初旬の本番を考えた時、万全仕上げまでの時間が足りなかった。ギリギリまで可否を模索したが、長引けば代表に迷惑がかかると判断した。この日午前、名古屋市の球団事務所に出向いて決断を報告した。

 吉見と会談した佐藤球団代表は「『悪化とか痛いではなく、思った通りの仕上がりができなかった。自信を持って臨めない』と話していた」と説明。その上で「WBCを辞退したからと言って、開幕が担保できたわけでもない」と付け加えた。2年連続3度目の開幕投手にも暗雲が垂れ込めた。【松井清員】

 ◆吉見の右肘

 社会人トヨタ自動車時代の04年12月に右肘を手術。05年希望枠で中日入団も1年目4試合、2年目も5試合に登板しただけのスロースタートからエースに成長した。10年11月、右肘の有利軟骨除去手術を受け、同12月にも再び同箇所にメスを入れた。昨年9月17日巨人戦で異常を訴え、緊急降板。翌18日の検査で右腕の肘頭骨棘の骨折と診断されたが、手術せずリハビリしてきた。