<オープン戦:ロッテ5-12ソフトバンク>◇15日◇QVCマリン

 ソフトバンク寺原隼人投手(29)の開幕ローテーション入りに黄信号が点灯した。6回予定で先発した15日ロッテ戦は背中の強い張りを訴え、3回2/3を投げて2失点で緊急降板。最速139キロ止まりで力強い球が消えた。順調なら29日からの開幕カード楽天戦(ヤフオクドーム)での先発が有力だったが、今後についてはすべて白紙となった。

 ベンチを出た高山投手コーチを見ると、観念したような表情になった。うつむく寺原の背中を、ズンとした鈍い痛みが襲っていた。「肩甲骨の下から腰にかけて、強い張りが出て動かない状態。過去にもありましたが、こんな感じのはなかった」。試合後の深刻そうな顔が、事態の重さを物語っていた。

 登板2日前から異変を感じたという。「四球だけは出さないよう、かばって投げたんですが…」。突っ立つようなフォームで最速は139キロ。偵察した西武、オリックスなど他球団スコアラーも「どこか故障したのでは」とざわめき立った。最後まで納得のいく球はいかず、球数とともに張りは強まるばかりだった。

 4回は2死無走者から四球を出し、ホワイトセルに2ラン。さらに四球で降板。予定の6回まで持たなかった。コンディション不良でもマウンドに立ったのは先発投手としての責任感から。ただ、故障だけでなく、登板予定のなかった有馬、千賀、金無英をブルペンから引きずり出してしまい、表情は余計に曇った。

 順調なら中6日で回り、29日からの開幕カード楽天戦での先発が有力視されてきた。WBCに出場している摂津の状態次第で、開幕投手の可能性もあった。昨年、オリックスでは開幕直後に腰の張りで離脱した。同じような時期に不安材料が浮かび、「今日の今日で、詳しくは分からないけれど、ちゃんと背中を治すだけ」と声を絞り出した。

 秋山監督も「様子を見て」と言葉少なだった。今後についてはすべてが白紙。開幕2週間前、文字通り、痛いアクシデントに見舞われた。【押谷謙爾】