<西武3-2ソフトバンク>◇10日◇西武ドーム

 もう連勝が半月以上ない。今のソフトバンクが下位にいる最大の理由がこれだ。1点差で敗れ、5位後退。5回から3度の得点機をものにできず、勝負どころの1本が遠い。「この階段、しゃべりながらはきつい。ハァ、ハァ」。名物階段に青息吐息だった秋山幸二監督(51)に耳の痛いデータが追い打ちをかける。なんとチームの代打率1割2厘は断然、12球団ワーストなのだ。

 6回2死二塁で高谷、9回無死から吉村を代打で送り出すも、不発。最後に快音が出たのは6月28日ロッテ戦のペーニャで、以降の代打は14打席連続無安打だ。場面や状況を踏まえて、少ない打席で結果を求められる難しい仕事だ。起用責任はベンチにあるが、今はひと振りで流れを変える強力な「代打職人」がいない。

 代打要員の入れ替えについて藤井打撃コーチは「それはもちろん」と検討をほのめかし、藤本打撃コーチが補足した。「思い切りのある代打がほしい。右打者は多いが、左打者が薄い。松中がいれば、今日の高谷のところも無条件で松中だった。でも今、何してるんだろう」。

 交流戦優勝セレモニーをボイコットした懲罰で2軍調整を続けるベテラン。今季代打では8打数1安打ながら、2年前のCSで代打満塁弾を放つなど経験値、勝負強さは群を抜く。松中信彦内野手(39)の2軍降格後、5勝13敗とチームの失速と符合するのは偶然かもしれないが、ここにきて「待望論」が巻き起こり始めた。打撃が好調な状態で降格処分となっており、首脳陣の判断に注目が集まる。【押谷謙爾】