<西武1-2楽天>◇28日◇西武ドーム

 日本一連覇を目指すシーズンは、キャプテンの一振りで幕を開けた。楽天松井稼頭央内野手(38)が西武との開幕戦で先制2ランを放った。2回2死三塁で、岸の初球スライダーを右翼席へ運んだ。開幕戦の初打席での本塁打はメジャーで2度記録しているが、日本では14年目で初めて。完投勝利を挙げた先発則本を強力に援護した。

 打った瞬間に分かる大きな当たりだった。2回2死三塁。西武岸の初球は、内角低めのスライダー。決して甘いコースではなかったが、松井稼は迷わずに振り抜いた。楽天ファンが陣取る右翼席へ運んだ。「狙っていたわけではない。体がうまく反応してくれた」。淡々と振り返ったが、先発した則本に大きなプレゼントを贈った。

 開幕戦の初打席で初球を本塁打にした。メジャー1年目の04年、メッツでも同じことをやってのけた。05年の開幕戦でも、初打席で本塁打。日本では初めてだったが、「積極性が持ち味なので」とスタイルを貫いた。オープン戦を、3割9分3厘の高打率で終えた。好調な打撃は、公式戦が始まっても変わらなかった。

 自らの決断があった。沖縄・久米島での1軍キャンプは2月前半で終了。その後、1軍は沖縄本島に移動した。だが、松井稼は志願して島に残り、2軍キャンプに参加した。連日、遅くまでマシン打撃を繰り返した。「若手がどんどん伸びてきているから、手を抜くことができない。しっかり練習をしないと」と当然のように言った。ある2軍スタッフは「稼頭央さんは、いつも最後まで練習していた。今の2軍選手は幸せですよ。あんなに素晴らしいお手本を間近で見られたんですから」と証言する。若手以上に振り込んで、3月から1軍に再合流。そこから、打撃の波を上げた。

 日本では14年目の開幕。この日も、ピンチになると、すかさずマウンドの則本に声をかけた。キャプテンシーを発揮したが、「開幕は全員が緊張する。僕も緊張しました」と打ち明けた。最後は「勝ったことが何よりです」。そう言って、ホッとした表情になった。今季も、楽天には心強いキャプテンがいる。【古川真弥】