<ソフトバンク3-2西武>◇26日◇ヤフオクドーム

 暴れ馬がハーラーダービー快走!

 ソフトバンク中田賢一投手(31)が西武戦に先発。4回まで毎回先頭を出塁させながら6回2失点で粘り、両リーグトップの今季5勝目を挙げた。移籍1年目で開幕から5戦5勝は日本人では43年ぶり。中日時代、暴れ馬の異名を取った右腕がエース級の安定感を誇っている。

 粘るから勝ち星がついてくる。ソフトバンク中田は5回まで毎回得点圏に走者を背負う苦しい投球だった。「投げている球と頭と体が一致していなかった。球が真ん中に集まってきていた」。中日時代、当時の落合監督から暴れ馬と名付けられた。いい意味で持ち味は荒れ球。だが、勢いがなければ、的は絞りやすくなる危険をはらんでいた。

 初回、浅村に先制打を許し、なおも1死一、二塁。中村の中前に抜けようとする強い打球を今宮がダイビングキャッチ。遊併殺で最少失点に切り抜けた。前日25日に復帰し摂津から決勝打を放った中村とは3打席すべて得点圏に走者を置いて対戦。3回は内角高め直球で止めたバットでの投ゴロ、5回は外角スライダーで中飛と仕事をさせない。要所で踏ん張ったご褒美が、5個目の白星だった。

 6回83球。8安打2四球でも2失点にとどめた。それでも秋山監督は「自分の投球から入っていないように見えた。相手を過大評価して慎重になった」と指摘。8、9番への連続四球など、投げっぷりの良さが影を潜めていたことが苦戦の原因だと分析した。

 登板後、中田はベンチ裏で岡島にどこが悪かったのかを尋ねた。「聞くことは恥ずかしいことではない。中日時代も岩瀬さんや山本昌さんに聞いていたので」。鉄は熱いうちに打て-。次回への課題、反省をすぐに明確にする姿勢も勝ち運を呼んでいる。

 開幕から5戦5勝。チームの連敗を止め、中日時代には無縁だった月間MVPも見えてきた。「特には考えていません。(5勝の)実感はない。チームが勝てているのが一番ですね」。地元福岡にFA移籍した右腕が、結果でチームの信頼を集め出している。【石橋隆雄】

 ▼FA移籍の中田が両リーグトップの5勝。移籍1年目でシーズン初登板から5戦5勝は09年ゴンザレス(ヤクルト→巨人=6戦6勝)以来で、日本人投手では巨人から西鉄に移籍した71年高橋明(5戦5勝)以来、43年ぶり。FA移籍した投手では95年工藤(ダイエー)が開幕から6連勝しているが、移籍初登板が勝敗なし。FA移籍1年目の5戦5勝は初めて。