<西武1-8阪神>◇15日◇西武ドーム

 2年目、阪神緒方凌介外野手(23)のサプライズ弾が虎を救った。同点の5回、中堅右に135メートルの勝ち越し2号3ラン。秘めたパンチ力を発揮し、西武を突き放した。9日にベース踏み忘れの凡ミス。懲罰交代させられたが、めげることなく、汚名返上の4打点でヒーローになった。負ければ貯金ゼロ、交流戦負け越しとなる危機で踏みとどまった。

 とんでもない走塁ミスも何のその。何かをしでかす男は、一振りで試合を決めた。緒方はベンチに帰ってくると白い歯をこぼしナインとハイタッチ。ヘルメットを取って、声援に応えた。

 「センターが前進守備をしていたので、ホームランというより、抜けたとは思った。(感触は)覚えていない。必死でした」

 同点の5回1死一、二塁。真ん中低め140キロ直球を強振。打球は中堅秋山のはるか上、フェンスも越えた。全力疾走していた緒方は虎党の大歓声で2号3ランを実感。その裏、右翼に就くとスタンドからの緒方コールに帽子を取り、初々しく2度お辞儀した。

 9日ソフトバンク戦(甲子園)で二塁ベースを踏み忘れる走塁ミスを犯して“懲罰交代”させられた。さすがに沈痛な表情で「結果で取り返せるように頑張ります」と唇をかんだ。その夜、心配した母利恵子さんから連絡があった。「大丈夫。終わったことだからしょうがない。もう切り替えているから」。緒方は自分に言い聞かせるように即答した。翌日の練習。まるで小学生がやるような、ベースを踏むタイミングを確認する練習を繰り返した。

 緒方の人となりを尋ねると同じ言葉が返ってくる。「何をしでかすか分からない」「いいも悪いもよく目立つ」と。投手を務めることもあった中学時代も周囲を驚かせた。2アウトを取ったところでベンチに帰ろうとした。味方から「まだ2アウトやぞ!」と声がかかった。気づいた緒方は、何食わぬ顔でマウンドに戻り、後続を抑えたという。

 6回には「バットの先。ラッキーだった」と左翼線にポテン打。追加点をたたきだしたが、打った瞬間、まるでファウルと勘違いしたように打球から目線を外していた。4打点の活躍でお立ち台に初めて呼ばれ「みなさんのおかげで頑張れます」とファンにあいさつ。「優勝に貢献できるよう頑張ります」と誓った。

 和田監督も目を細める。「あそこで打つというのはそういうものを持っているのかもしれないな」。何かを起こす男。緒方から目が離せなくなった。【宮崎えり子】

 ◆緒方凌介(おがた・りょうすけ)1990年(平2)8月25日、大阪府生まれ。PL学園3年夏は南大阪大会決勝で敗退。東洋大では1年春からリーグ戦出場。4年時は主将。12年ドラフト6位。1年目は2試合出場のみ。176センチ、65キロ。右投げ左打ち。