今季国内フリーエージェント(FA)権を取得した日本ハム宮西尚生投手(29)が国内他球団移籍を視野に入れていることを26日、示唆した。この日、札幌市内の合宿所を訪問。シーズン終了後、初めて姿を現した。FA権の行使について、慎重に検討している胸中を吐露。「野球人として、人生としても分岐点。今までを振り返って考えたい」と、残留だけが選択肢ではないとの考えを明かした。

 風雲急を呈してきた。日本球界では、希少価値が高い左の中継ぎ左腕。今季は終盤に左すねを疲労骨折しながらもCSにも登板するなど、入団から7年連続でシーズン50試合以上登板を達成。今季も42ホールドをマークした。まだ20代と若く、大きな故障歴がないため、今後もさらに円熟味が増すとの見方が大勢を占める。FA宣言をすれば争奪戦必至となりそうな今オフの目玉の1人で、決断が注目されていた。

 日本ハム側はトップ級の選手にしか適用しない、異例の複数年契約を提示する方針を固めている。引き留めに全力を挙げているが、兵庫・尼崎出身で既に阪神などが「ご当地選手」として強い興味を示しているとされる。宮西自身はあくまで残留を基本線にし、身の振り方を模索しているとみられる。「これからも必要な戦力と言ってもらった。うれしかった。大学(関学大)3年から思うような成績を残せず、落ち目のところで山田GMに拾ってもらった。感謝しかない」。ただ、1人の野球人として新天地を目指すべきかとの葛藤もあるから、予断を許さない。最終結論の行方が、気になってきた。【木下大輔】