<全日本大学野球選手権:東日本国際大4-1旭川大>◇13日◇1回戦◇東京ドーム

 東日本国際大(南東北)は延長10回のタイブレークの末、旭川大(北海道学生)に競り勝ち、2年ぶり4度目の初戦突破を決めた。1-1で迎えた延長10回表、1死満塁の設定から4番四家(しけ)祐雅右翼手(3年=福島・聖光学院)の左中間二塁打で勝ち越した。昨夏、投手に転向した西川尚美(4年=同・小高工)も4安打1失点(自責0点)の完投勝利で、全国デビューを飾った。

 被災地・福島の思いを背負う東日本国際大が、昨年果たせなかった初戦突破を決めた。今大会初のタイブレークを主砲の一振りで制した。この日5打席目の初安打が2点適時打になった四家は、二塁上でガッツポーズ。前打席の9回表、無死一、二塁。バントが捕-三-一の併殺になり、好機をつぶした。四家は「(ベンチで)みんなが気遣ってくれて心が痛かった。タイブレークで使ってくれた監督や仲間に感謝しています」と話した。

 西川も、初体験の全国マウンドで踏ん張った。昨春まで四家の控え右翼手で、昨夏から小高工3年以来の投手に復帰。3回まで3人ずつで打ち取る冷静な立ち上がり。4回、失策絡みで失点したが、5回以降は散発3安打で勝利につなげた。原発事故で避難区域になった南相馬市の実家は半壊。避難勧告は解除されたが、まだ両親は仮設住宅で生活している。その両親もスタンドで観戦。延長10回裏を2者連続三振で締めた西川は「震災後、野球を続けさせてくれた親にありがとうと言いたい」と感謝した。

 今日14日の2回戦では、07年準決勝で1-13の大敗を喫した東海大(首都)と対戦する。仁藤雅之監督(32)は「(5年前に比べて)どのくらい成長したか試したい」と意欲。西川は「技術では劣るかもしれないけれど、気持ちではどこにも負けない。チーム一丸で日本一を目指したい」と闘志を燃やした。【佐々木雄高】