高校NO・1左腕を一本釣りじゃ!

 広島が今日25日の「プロ野球ドラフト会議

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 TOSHIBA」で、東福岡・森雄大投手(3年)を1位指名することを決めた。24日、都内でスカウト会議を行い、松田元オーナー(61)が明言した。最有力だった亜大・東浜から、チームの課題を補う左腕に方針転換。昨年の野村に続き単独指名で未来の左腕エースを狙う。

 先制パンチを繰り出した。約2時間のスカウト会議を終えると、真っ先に部屋を出てきた松田オーナーはすがすがしい表情を浮かべていた。

 「決まった。決まった。森でバシッと行こうじゃないか。スッキリした」

 飛び出した名前は、最有力候補だった亜大・東浜ではなく、高校生NO・1左腕の名前だった。最終決定権を握っていた野村監督も「戦略上そうなった。エース級になれる。今の年代にいてほしい」と、投手王国を担っていくことになる左腕の指名に同意した。

 最後の夏に背番号11だった森は、甲子園出場もなし。だが、184センチの長身から投げ下ろす、最速148キロの直球は魅力十分だ。左腕不足のチーム事情も、方向転換の大きな要因となった。今季先発した左投手の勝利数はわずかに3つ。篠田、斉藤らが不振に終わり、左腕投手の台頭は急務となっている。苑田スカウト部長は「藤浪(大阪桐蔭)、東浜もいるが、現状では少し落ちるかもしれないけど、ガタッとではない。左で一番いい投手」と評価。高校生ながら1、2年で1軍戦力となる可能性は十分だ。

 ドラフト前日に公言したことも狙いがある。松田オーナーは「早めに旗を立てた。うちが行くと言ったら、他は競合になるということ」と説明した。仮に当日まで隠した場合、一本釣りを狙う他球団と競合する可能性がある。森サイドに誠意を見せるためにも、正々堂々と真っ向勝負を挑む。それでも競合となり、抽選で外れた場合は、即戦力右腕のNTT西日本・増田か、今夏の甲子園で4本塁打を放った光星学院・北條の獲得を狙う方針も固めた。

 昨年は野村を一本釣りし、1年目から文句のつけようのない活躍を見せた。完成しつつある新投手王国。素材NO・1左腕が、最後のワンピースになる。【鎌田真一郎】

 ◆森雄大(もり・ゆうだい)1994年(平6)8月19日、福岡市生まれ。姪浜小4で野球を始める。東福岡1年からベンチ入り。甲子園出場はなく、3年夏は県8強。球種はカーブ、スライダー、チェンジアップ。好きな選手は西武菊池。184センチ、76キロ。左投げ左打ち。