「日本ハム・大谷」が誕生した。ドラフト1位で指名された花巻東・大谷翔平投手(18)が25日、契約金1億円プラス出来高払い5000万円、年俸1500万円(推定)で正式契約を交わし、札幌市内のホテルで入団会見を行った。会見後には札幌ドームへ移動し、背番号11のユニホーム姿で、栗山英樹監督(51)と“対戦”し、プロ第1球&ファーストスイングを披露。「エース兼4番」として、投打両面で一流となる決意を語った。

 壮大なスケールで描かれるであろう「プロ野球人・大谷翔平」のドラマが、札幌ドームで幕を開けた。1人の新人のために用意された極上の劇空間だが、マウンド上での立ち居振る舞い、打席でのオーラは、大物感たっぷりだった。「(投打)どっちでも頑張りたいです。(エースで4番は)やる以上は、目指したいです」。日本プロ野球界で誰もなし得たことがない高みに、明確な目標を置いた。

 世界へ旅立った先輩も歩んだ道。「参考にしてきたし、憧れとして追いつきたいと思っていた」というダルビッシュから受け継いだ背番号11をまとい、三塁側ベンチからマウンドへ向かった。真っさらなマウンドから、プロ第1球。160キロの剛速球は“封印”したが、栗山監督の膝元を、恐れることなく突いた。対決直前、「真剣に打っていいんだよね?」と話していた指揮官も、及び腰で空振り。度胸が、違った。「感動しました。すごく投げやすいマウンドだと思いました。しっくり来ました」と言う不敵な笑みには、余裕すら感じさせた。

 その後はグラブをバットに持ち替えて、左打席へ。打っては高校通算56本塁打の超高校級スラッガー。「広い球場でびっくりしました。思ったよりフェンスも高いし、(打球がスタンドに)入るか分からないけど、打てるように頑張りたい」。真剣勝負の場ではなくても、投打ともに、活躍する姿を思い描くには十分だった。「高校では160キロでも日本一になれなくて悔しかった。日本一になりたいです」と言い切った。チームが頂点に立つために、自身がその原動力になる。

 「恩返し」を胸に抱いて、戦う。メジャー挑戦表明から一転、日本ハム入りまで「すごく悩んだ」と振り返る。批判の声も耳にする中、支えとなったのが、両親をはじめとする身近な関係者や、ファンの存在だった。特に北海道のファンからは、学校や自宅に手紙が届いたという。「おばあさんとか、子供とか…。北海道に来てやってほしいと、温かい手紙でした。すごく自分も勇気づけられましたし、そういうのも含めて決断させてもらいました」。エースで4番という規格外の選手となることで、かつてない夢と感動を与えるつもりでいる。

 一生忘れられない、人生最高のクリスマスとなった。1月5日に花巻市内で本格始動し、11日から千葉・鎌ケ谷で始まる新人合同自主トレで体作りに励む。「まだ体つきはプロの方と違うので、改善していきたいです。(入団が)出遅れたし、(正月もトレーニングを)やっていかないとダメだと思ってます」。日本史が得意な18歳は「今やっている幕末がおもしろいです」。球界に維新を巻き起こす。【本間翼】